ウィーン工科大学、国立情報学研究所とNTTは、固体量子系からのマイクロ波の超放射を実証した。
この実証では、筑波大学で作製された窒素と空孔からなる格子欠陥をもつダイヤモンドの結晶とマイクロ波の共振器が用いられた。
「超放射」という現象は以前より理論的に予言されていたが、実証するのは困難と考えられてきた。
「超放射」とは、原子のひとつが光を放出するときに、他の原子も同時に光を放出することによって起こる現象。短い時間の間に強い光が放出されるため「超」放射と呼ばれている。
これまでは特殊な対称性をもつ原子の集団が起こす超放射が考えられてきたが、ウィーン工科大学の研究チームは固体量子系を用いることでこれを実現することに成功した。
ダイヤモンド結晶中にある窒素と空孔からなる格子欠陥は、人工原子のように振る舞うので、超放射によってマイクロ波の光を強い閃光として放出すると期待できる。
同研究成果は、モデリングと理論解析を行ったNTT物性科学基礎研究所と国立情報学研究所、NVセンターを含むダイヤモンドのサンプルを作製した筑波大学、ダイヤモンドとマイクロ波共振器からなるハイブリッド量子系を作製し超放射の測定を行ったウィーン工科大学の共同研究により得られたもの。