科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業において、慶應義塾大学の滑川 徹教授らは、電力自由化後の電力市場で、市場参加者の利益(個人合理性)を保証する分散型電力価格決定メカニズムを世界に先駆けて考案した。
考案したメカニズムは、電力価格を変化させるプライシング(価格設定)によって、社会全体の公共利益が達成できることを示した。さらに、提案手法を電力網に適用した実験を行い、当初の目的である各需要家と供給者の利己的な振る舞いを公共利益へと誘導できることを証明した。
この結果から、考案したメカニズムは、電力自由化に対応した安定な電力ネットワークの経済・制御モデルの構築に役立つことが期待される。今後は独立系統運用機関(ISO)が市場参加者へ支払うインセンティブのコストを考慮したアルゴリズムの検討を実施し、実用化に向けた研究を加速する。