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●科学技術ニュース●産総研、可視光用撮像素子を用いた中赤外線レーザーのビーム径計測技術を開発し計測装置の小型・低コスト化実現

2022-10-05 09:32:21 |    物理
 産業技術総合研究所(産総研)物理計測標準研究部門 応用光計測研究グループ 沼田 孝之 主任研究員は、可視光用半導体撮像素子を用いた、中赤外線レーザーのビーム径計測技術を開発した。

 これは、半導体撮像素子で発生する熱励起電子を利用して、中赤外線レーザーのビーム径を計測する新しい技術。

 通常、半導体撮像素子による可視光の計測では、熱励起電子はノイズ源として扱われる。しかし同技術ではこの既成概念を転換し、熱励起電子を信号源ととらえる。測定対象の中赤外線レーザーで撮像素子をスポット加熱し、素子上で発生した熱励起電子の分布を検出する。

 熱励起電子の分布とレーザーのビーム径との相関を評価することで、熱励起電子の分布を基に入射したレーザーのビーム径を推定することができる。

 同技術によって、小型で低コストな、現場で扱いやすい装置を用いて、中赤外線レーザーのビーム径の計測が可能となり、各種材料加工や低侵襲医療をはじめとする多様な中赤外線レーザーの応用技術の発展に貢献する。

 通常、シリコンを用いた半導体撮像素子は、可視光の持つエネルギーで励起される電子を信号源として利用する。このとき、熱エネルギーによって励起される電子はノイズ源であり、不要なものとして扱われる。

 同研究ではこの概念を転換し、中赤外線レーザーの照射による熱によって励起される電子を信号源として利用し、光励起される電子をノイズ源として扱う。半導体撮像素子の受光面を測定対象の中赤外線レーザーでスポット加熱し、その熱によって励起される電子の分布を画像化して入射レーザービームの強度分布を計測する。

 今後は、ビーム径の計測精度の評価を進めるとともに、任意のビーム形状への適用性を検討する。将来的には、同技術を活用し中赤外線レーザーを用いた各種材料加工や低侵襲医療、センシング技術などへの応用展開を予定している。<産業技術総合研究所(産総研)>
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