“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「地形図を読む技術<新装版>」(山岡光治著/SBクリエイティブ)

2018-08-23 09:29:48 |    宇宙・地球

 

<新刊情報>

 

書名:地形図を読む技術<新装版>

著者:山岡光治

発行:SBクリエイティブ(Si新書)

 国土地理院がつくる2万5千分の1地形図は、わが国のようすを土地の高低もふくめて正確に表した地図。すべての民間の地図のもとになる地図でもある。かならず等高線が描かれているので、ぱっと見、複雑そうにみえるが、地上の風景の面積や長さ、高さを知りたいときには欠かせない。同書では、ある意味「最強の地図」ともいえる地形図ならではの情報を読み取る技術を解説。

 

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★科学技術ニュース★産総研とキリンビール、ホップ由来の分子とタンパク質が表面に共存することを初めて実験的に確認

2018-08-23 09:29:17 |    生物・医学

 産業技術総合研究所(産総研)は、キリンと共同で、表面の解析に有効な分光法を用いてビール表面を直接測定し、表面におけるホップ由来の分子とビールに含まれるタンパク質の挙動を明らかにした。これらはビールの泡の形成・安定化に重要な情報である。

 ビールの泡には、タンパク質とホップの成分が含まれることはこれまで知られていたが、それらが泡中の液体部分に存在するのか、気体と液体との界面(気液界面)に存在するのかは不明であった。

 今回、固体や液体の表面・界面に存在する分子の振動スペクトルを選択的に測定できる和周波発生分光法(SFG分光法)を用いてビールの表面を調べたところ、ビールの表面にはビールの苦味の元を含むホップ由来の分子とタンパク質の両方が存在すること、さらに表面に現れているホップ由来の分子の存在量とビールの泡の安定性に相関があることが明らかになった。

 ビール表面の水に対してタンパク質とホップ由来成分の疎水性の構造が相互作用してネットワークを形成し、泡の最表面に現れることで高い安定性を持つ泡が形成され、さらに表面に現れるホップの量が増加することで泡がより安定化した、と考えることができる。

 ビールの泡の安定化には、表面のタンパク質の存在と共にホップ由来の分子の介在が重要であることは従来から提唱されてきたが、今回、ホップ由来の分子とタンパク質が表面に共存することを、初めて実験的に確認した。

 一般に、泡は材料の特性を大きく変化させることもあるため、泡の形成過程とその表面における分子挙動を調べることは、材料開発など他の分野にとっても重要な課題である。今後は、今回用いた表面・界面計測、解析技術を気液界面の分子挙動やさまざまな材料の特性解明へつなげていく。

 

 

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「生命の再設計は可能か」(ジョン・パリントン著/化学同人)

2018-08-23 09:28:57 |    生物・医学

 

<新刊情報>

 

書名:生命の再設計は可能か~ゲノム編集が世界を激変させる~

著者:ジョン・パリントン

訳者:野島 博

発行:化学同人

 ゲノム編集の進展を中心に、遺伝子にまつわる研究の最近の動向をわかりやすくまとめた。一人で書いたとは思えないほど広範かつ深い内容であり、ゲノム編集とその周辺領域を、その歴史を含めて把握できる。随所に科学者の逸話や名言(迷言?)、研究や特許における駆け引きなどが挟まれており、飽きさせない。生命科学の知識がない読者にも理解できるように細心の注意を払ってわかりやすく記述されている。

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