学術もいいけど、その前に…。
第52回を迎える「日本薬剤師会学術大会」はどうだったのだろうか。
残念ながら台風の影響で参加できなかった人も多かったと思う。
現地で対応していた皆さんがちょっと気の毒である。
薬剤師として、学術を磨くのはある面では有資格者としての義務であり、自己研鑽の必要性を感じる。
だが、その能力を発揮する場の確保も大事になる。
ある調査では薬局の半分が1人薬剤師で運営されている。
考えようによっては中小小売業で成り立つ業界と言える。
ところが、ここ最近猛威を振るっているのがドラッグストアである。
高知県にある地場のドラッグストアがウエルシアの子会社になった。
この会社の社長とは数年前に出会い、その時に「これからのドラッグストアに処方箋は欠かせない」と訴えたのを思い出す。
調剤事業がないドラッグストアだった。
あの段階から取り組めばまだ間に合ったかもしれない。
何事にも「たら、れば」は後の祭りだ。
そして、何となく残念に思う。
それにも増して今後が気になるのが高知県の薬局事情である。
高知県は約65%が1人薬剤師の薬局と聞いている。
そこに新たな勢力が舞い降りてくる。
ウエルシアの調剤売上の伸びは恐ろしさを感じさせる。
決算の関係で3月からの調剤売上の伸び率が公表されている。
3月は7.4%、25.2%、15.6%、15.5%、22.9%、18.3%、そして9月が23.5%となっている。
昨年の調剤売上が約1,300億円である。
月の売上が100億円を超えていることを考えると、毎月約20億円の上乗せとなる。
そんな脅威が高知県に迫っている。
最近、九州にてテレビコマーシャルが流れているそうだ。
まだ店舗もないのに。
対するスギも凄い。
ここも3月から年度始まりだが、8月までの
中間決算発表によると調剤売上が511億4,700万円だそうだ。
対前年度比が14.9%にも驚かされる。
これによって今期は1,000億円を超える。
処方箋単価は10,561円で、粗利益率が38.9%にも驚かされる。
決算発表の際に副社長が「今期は1,000億円を超えるということではあるが、もっと高い領域に行かなければならない」だそうだ。
成長するためには既存の深掘りもあるが、新天地への挑戦も大事になる。
その進出は徐々にではない。
今年7月にセブンイレブンが沖縄に進出した。
14店舗が7月11日に同時オープンした。
さすがセブンイレブンだけに7月11日である。
それが2024年までに約250店舗を目指すそうだ。
もっと真剣に生き残りを考える時期に入ったと感じないか。