何となくトーンが下がった感がある。
電子版お薬手帳の方向性が見えてこない。
今年から薬局機能情報提供制度の追加項目になっているが、この機能は本当に必要なんだろうか。
今ごろになって何となく普及に力を注いでいた日本薬剤師会の反応が鈍くなったような気がする。
先日も情報システム検討委員会の責任者が「紙を選ぶか電子を選ぶかは患者の選択肢」と、機能の優位性を否定したような発言があった。
明らかに優位ならもっとアピールすべきじゃないだろうか。
日本薬剤師会はお薬手帳を紙から電子への転換を進めているわけではなく、患者がどちらでも選択できる用の環境の整備を進めているとしている。
ちょっと詭弁じゃないのか。
患者にとってどちらがいいのかを進めるのが本来のような気がする。
この背景かどうかわからないが国が広めようとしているマイナンバーカードがある。
先日も発表になったが2021年3月には健康保険証の代用を可能とし、同年10月からはお薬手帳の機能も搭載可能とする。
こうなると電子版お薬手帳など必要がなくなる。
この電子版お薬手帳については中医協の場でも疑問視がされている。
医師が患者からのスマホ画面で薬の内容を確認して、書き出すのか。
救急現場でのロック解除の問題など浮上している。
私は当初から、この電子版お薬手帳には慎重論を主張してきた。
何と言っても会社ごとに管理は可能であるが、他社のシステムとは「e薬リンク」を経由しなければならない。
はっきり言ってかなり面倒だ。
厚生労働省の「かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査」(2018年度)によると、電子版お薬手帳の導入薬局は48.1%だそうだ。
何となく中途半端である。
薬の情報は薬局だけが必要ではない。
医療機関も必要であり、その医療機関にとっての使い勝手も問われる。
セミナーでは電子版お薬手帳の導入が「地域支援体制加算」などの算定要件になるのかを聞かれる。
私は今のところはないと思うと答えている。
もし算定要件になったとしても導入したらいいだけである。
そのときに使用実績は始めから問わない。
先日、ある電子版お薬手帳の会社に人と話をする機会があった。
いろいろ質問したが現状は厳しいような返答だった。
日本薬剤師会はこのシステムにどれだけの投資をしたのだろうか。
どれだけの会員の薬局が導入したのだろうか。
何ごとにも経営者には「償却」の視点が必要だ。
ところで、大手ドラッグストアで医薬品の不正販売が発覚したようだ。
中医協が本格的になるタイミングである。
さて、どうなるのか?