仕掛けは既に始まっている。
3月3日の日経新聞の1面は「病院 減らぬ過剰ベッド」である。
この新聞は、私が思うに、国から情報がリークされて、何らかのメッセージを予告していると思っている。
記事に取り上げられた内容は、国の諮問機関等で話し合われ、何らかの手段として盛り込まれてくる。
近々に具体的な動きが出て来るはずだ。
それが2020年の診療報酬改定であり、まさに急性期病棟に大きくメスが入る。
この事は私のセミナーでもお伝えしている。
2017年4月20日に行われた財政制度等審議会の資料に、「薬価改定・診療報酬本体改定の対象範囲(イメージ)」がある。
ここに医科の医療費が全体に占める割合として約75%としている。
歯科の医療費は約7%で調剤の医療費は約18%である。
この医科の医療費の80%程度が技術料となっている。
75%の80%だから医療費全体の約60%を占めていることになる。
先ほどの新聞によると国民医療費42兆円のうち入院医療費は約4割としている。
因みに、2番目に大きいのは医薬品費で約28.3%になる。
この数値を見る限り医療費抑制はどこを見直したらいいのかが分かる。
上記から2020年の診療報酬改定は入院医療に大きな転換を迫ることになる。
薬局だけがいつもいじめられているイメージがあるが、そんなことはない。
全てにおいて大きな転換期を迎えている。
2014年6月に「医療介護総合確保推進法」が制定している。
この話はセミナーで何度も話しているが覚えているだろうか。
簡単に言うと2025年を目指した”地域包括システム”に向けた法整備である。
その中に「地域医療構想」があり、都道府県単位の必要病床数を4つの区分から算定し、それに向けて地域の医療機関同士の話し合いが持たれている。
お互いに病床数を減らすのは嫌だ。
話し合いなど決まるわけがない。
それに業を煮やすように、そろそろ国は診療報酬で追い込んでくるようだ。
その前触れが今回の記事になると思われる。
「地域医療構想」は鹿児島県、熊本県、北海道の病床が2015年から25年までの10年間で1万床以上の削減を求めている。
先ずは、自分の地域がどうなるのか知るべきだ。
地域の医療の構図が変わる。
その変化をとらえているだろうか。
さて、既に手が付けられているのが医薬品である。
何と言って2番目に大きい。
薬価は薬価制度改革によって毎年引き下げになり、後発医薬品への切り替えは必須となっている。
先発医薬品も後発医薬品と同じ薬価に近づける仕組みも始まる。
そう考えると調剤の技術料など取るに足らぬと思うが、ここからの財源を診療所の初診・再診料に引き当てるのが組織の力と政治力になる。
どちらにしても劣る組織は負ける。