東郷町議会議員 かどはら武志(日本共産党)

連絡先090-1835-5649
kadohara@joy.ocn.ne.jp
白鳥4丁目押草団地

「倫理は文化」―市橋克哉名大院教授の講演

2015年02月02日 | 日記
 去る1月20日、市橋克哉名古屋大学大学院教授(名古屋大学副総長)を招いての講演会が東郷町議会議長の主催で行われ、議員らが政治倫理について学びました。
 その内容をご紹介します。

 名古屋大学大学院法学研究科の市橋克哉先生(名古屋大学副総長)の講義を聞きました。この講義は、東郷町議会で懸案になっている「政治倫理条例の制定」に関連して、多くの自治体で議会基本条例などの制定に関わっておられる市橋先生のお話を聞こうということで、議会議長が企画したものです。

「倫理は文化」
 市橋先生のお話の中でいちばん重要だと思ったのは、「倫理は文化」という観点でした。
 人間、仲良くなると酒食を共にすることなどもあるものですが、利害関係がある者どうしだと、不適切な関係ではないかとの疑惑を呼ぶものです。もちろん受諾収賄などの犯罪は、司直の手で裁かれますが、「この程度なら良い」とか、酒食を共にするのは不適切かもしれないと思って断った場合に「カタいことを言う野暮な奴だ」と言うといったような意識が、世間一般にはあるかもしれません。
 市橋先生は名古屋市で職員の倫理審査に関わっておられますが、職員にとっても、倫理規定があると「決まりがあるから」と誘いを断りやすいという利点があるとのことです。実際、職員が揃って「決まりがあるから」という決まり文句を言うと、誘いも減ったという効果もあったそうです。

「倫理基準に相場はない」
 こうした意識づけを普段から行うことの大切さと並んで重要だと思ったのは、「倫理の基準には相場はない」というお話でした。倫理違反を犯した者へのペナルティをどうするのかという話です。これはお互いに常に話し合い、認識を共有する中で、「相場」を作っていくということです。
罰するのが目的ではない
 大切なことは、不正が明るみに出たり疑惑が浮上するなど、何か起こったときに、それを「罰する」ために政治倫理条例を作るのではない、という説明がありました。加えて、政治倫理についてざっくばらんにいろんなケースを想定して話し合う中で、「倫理の相場」を作り上げていくことが大事、との説明もありました。
 以上から私は、そういうことを目的意識として持ち続けるための動機づけが、政治倫理条例の意義だと思いました。

外部の目の大切さ
 条例制定に関わる話では、議員だけで倫理審査を行うのではなく、外部の人も入れることで「井の中の蛙」になってしまわないようにすべきだとの話がありました。「狭い文化の中の慣行」だけでの判断を避けるために必要なことという説明でした。
 また、市橋先生が関わっておられる名古屋大学の制度では、たとえ1人でも、またたとえ信憑性がない話でも必ず回答するようにしているそうです。これは「シグナル」が発せられることに期待をして、そのようにしているそうです。これを議会にも取り入れれば、住民の声に耳を傾けるという姿勢を示す上で利点が大きいと私は思います。

さて、「講演の成果は?」 政治倫理条例(案)概要固まる
 1月29日の議会活性化特別委員会では、議会を対象とする「政治倫理条例」の制定についても話し合われ、案の概要が決まりました。全議員の了承を得て3月議会に提出される予定です。

 主な内容は
①過半数の議員か、100分の1の有権者の賛同で審査の請求ができることとする
②審査会は議員で構成する(8人以内)
③審査会は審査結果報告を議長に提出し、議長は報告書を公開するものとする
④3年以内に条例を見直すこととする、などです。

 私は、審査会には議員の他、外部の人も入れるべきだと提案してきましたが、「どんな人を選ぶのか決めるのが大変」「報酬を出す必要がある」などの反対意見があり、取り入れられませんでした。
 また、市橋克哉教授の話を参考に、議会への投書への対応も条例に盛り込むことも提案しましたが、採用されませんでした。

 今回固まった「政治倫理条例案」に市橋先生が強調された「外部の目」を入れることができなかったことは残念ですが、「3年以内に見直す」規定を利用し、より町民目線に合った仕組みを作るために、がんばります。

 皆さんからもご意見をお寄せください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする