うちの祖母は認知症です
93歳
とってもかわいいおばあちゃん
転んで頭を強く打ち、脳出血の後、頭の傷が回復しても認知機能と嚥下機能はもとに戻らず、
その時から病院と施設、うちを行ったり来たりしながら生活しています
最近では2月ころから傾眠傾向になり、起こしても起こしても寝てしまう、食事中、スプーンを口まで近づけても
最後まで口に持っていく前に寝てしまう・・・
そんな状態で衰弱し、病院へ。
ようやく5月にギリギリの状態で退院しました。
祖母はやっぱり、ふらふらしていて、またいつ誤嚥して入院するかもわからないな~という感じでした
そんな中、自分の患者さんで高Ca血症という診断名で入院して来られた方がいらっしゃいました。
その方は一か月前まで整形の病棟に入院していました。
退院の数日前からカルシウムとビタミンDを処方されていたようです。
久しぶりにお会いした患者さんはほとんど何もコミュニケーションがとれないくらいぐったりしていて、ごはんどころではありません。
点滴を入れて、Caを下げてきたらようやく傾眠が改善され、食事が摂れるようになりました。
この患者さんを見ていて、祖母と同じ感じだな・・・と。
いつもは祖母の治療にうるさく口を挟まないように・・・と思っているのですが
介護をしている実家の母に電話をかけ、
祖母の血液検査でカルシウムを測ってもらうように先生に頼んでほしいとお願いしました。
数週間後、祖母の血清Caは11.2。
高Ca血症です。しかも、祖母のその時のAlbは3.1.アルブミンが低いと血清Caは低めに出るので、
補正して計算しなおすと、補正Caはなんと12.1
びっくりするほどの高Ca血症です。
そりゃ傾眠にもなるし、食欲不振にもなるわ!
そんなわけで、母親を説得し、主治医に活性型ビタミンDを中止してもらうようお願いしてもらいました
一か月後、食欲がばっちり戻った祖母は補正Ca 9.7 ばっちり基準内。
Alb3.4と改善していました。
高Ca血症があると腎機能にも負担がかかることもあり、悪化していた腎機能も薬をやめてから元の数字にもどっていました。
やっぱり薬ってこわいですね・・・。
そんなことがあってからすでに3か月。
今日母親から、「おばあちゃんの血液検査の結果を見て」と電話がかかってきました。
メールで送ってもらった血液検査はまた高Ca血症
どうやら一か月前に低Ca血症の副作用が起こりやすい薬を開始したので活性型ビタミンDも同時に再開したのだとか。
活性型ビタミンDを再開してから一か月ほどでまた高Ca血症になってしまったのです。
現在は傾眠もなく、ごはんも食べられていますが、腎機能の検査結果も悪化しており、
薬の副作用が様々な形で見え始めたところだったようです。
すぐに主治医に電話して活性型ビタミンDは飲まなくてもよくなりました
いやいや、薬ってこわいですね。
特に高齢では副作用が大きく出ます。
途中でカルシウムを測定して高Ca血症がわかったからよかったものの、
そのまま高Ca血症に気づかずに薬を飲み続けどんどんCaが上がっていったら
傾眠が続いてそのまま意識がなくなって、亡くなっていたかもしれません。
しかも93歳となれば、これが寿命、大往生。と何の疑問ももたずに・・・。
薬の副作用が原因だったのに「もう歳だから・・・」そんな風に亡くなっていく高齢者が
実はたくさんいるのではないかと強く感じます
しかし、こういったことに誰が気づくのか。気づくべきなのか・・・
訪問医は患者をトータルで看ます。
でも薬の専門家ではない。
元々の専門分野が何だったかにもよりますが、一人の人で全ての治療を完璧にすることは難しく、
特にたくさんの薬を飲んでいる高齢者の薬の副作用を疑い出したら
先生は寝る暇もなくなってしまいます。
発展した医療で助けられる人もいるけど、
陰で誰にも知られずに医療によって害を受けている人もいるのではないかと感じる今日この頃です