山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

TPPについて(18)-六次産業化とはいうものの・・・

2013-06-14 | 農業

 農業の六次産業化が叫ばれております。「TPPについて(17)-農業の経営規模拡大の行き着く果ては?」でも若干言及しておりますが、農業生産者が加工・販売まで手を拡げることに、そんなに大きな意義があるのでしょうか?

 確かに、生産者と消費者が直結することによるメリットが無いとはいえません。しかしながら、食品加工、流通、販売それぞれにそれなりのノウハウなどがあるわけです。ど素人ともいえる農業生産者がいきなり飛び込んでいって、おいそれと成功できる可能性はそんなに高くないと思います。餅は餅屋と申しますように、生産、流通、販売のシステムに内在する問題点を洗い出し、それぞれの立位置で改善を図っていった方が益しなのではないかと考えます。

 例えば、農業生産者が食品加工に手を出すことを考えましょう。食品加工には衛生管理が重要です。農業従事者に衛生管理の知識が十分に備わっていると考えるにはかなり無理があると思われます。講習会などで付け焼刃的に身に着けた知識で本当に大丈夫であると言えるでしょうか。食品加工会社ですら利益追求のためには不正を働くではありませんか。農業生産者ならば安心だとは言い切れません。むしろ農業従事者は、農業の分野で努力することが重要だと考えます。農業従事者が他の分野に進出するなと言っている訳ではありません。農業が主であるべきであり、加工・販売はあくまでも農業を補完する程度にとどめるべきものであると言う意味です。

 六次産業化とは、農業だけでは利益が出ないので他の分野を取り込むことによって利益を産み出し、農業を存続させようとの考えで、農業そのものを利益の出るものにしていこうといった考えではなのです。要は、農業者をして利益追求に走らせようとしている訳で、利益追求が優先すれば安全・安心な農産物はどこへ行ってしまうのでしょうか。果たして、安全・安心を犠牲にして利益追求を優先する不心得者がでてこないと誰が言い切れるでしょうか。これは何も六次産業化に限ったことではありません。世の中の全事業者に問われていることでもあります。利益至上主義の行き着く果てはどのようなものか想像するだけで恐ろしくなってきます。

<参考> 「個人的良心と組織