風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「ばかもの」

2016-03-02 | 読書

この作家の作品は初。
CDのジャケ買いじゃないけれど、
タイトルと表紙に惹かれて買ってみた。

1例として主人公をアルコール中毒にしてるけど
依存から喪失、加えて阻害を感じた時に
気持ちが落ちていく感覚はとてもよくわかる。
額子に依存していたのがヒデ、
信仰に依存していたのがネクラ。

依存する対象を失った時、その後依存するのは
人により異性だったり、アルコールだったり、
あるいはあの元プロ野球選手のように
覚せい剤など薬物だったりするのだ。
(彼の物語ということもできると思うよ)
「意志が弱い」と責めるべからず。
誰しも危ういところに立っていて
暗い穴はすぐそばにぽっかりと口を開けている。

最後の章は救いだな。
額子も喪失を味わった後だからこそ
ヒデを受け入れたハッピーエンド。
実際にはこんな美しい結果ばかりじゃないことは
この歳まで生きてきてよく知っている。
でも、やっぱり人は希望を捨てたくないよね。
思わず微笑んでしまうラブストーリー。

「ばかもの」絲山秋子:著 新潮文庫
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