風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「『ぴあ』の時代」

2015-03-21 | 読書
昭和50年代に東京で大学時代を過ごして
ぴあを知らない者は恐らくいない。
首都圏では高校生も?
全国を席巻した学生運動の大波があっという間に静まり、
それまでの映画、音楽、書籍、イベントなどの
観念的なベクトルが少々ウザく感じ始めた
ポスト全共闘のシラケ世代(新人類とも言われた)は
芸術よりもエンタテイメントを、哲学よりもスタイルを
表現するサブカルチャーというジャンルを生み出した。
現代のサブカルチャーの萌芽となる。

リードしたのがぴあ。
それまでには無かった「情報誌」というメディアで
新しい映画や音楽やイベントを発信し続けた。
欄外の「はみ出し」と呼ばれた読者からの短信は
情報の発信者と受け手が同等であるという
インターネットの様式を垣間見ることができるばかりか
その短文はまさにツイッター。
明らかに時代を何歩も先取りしたメディアではあった。

我々読者は当たり前のようにぴあを享受したが、
これまた時代を先取りした学生起業のベンチャーが
いかに既存の社会の仕組みと戦い、
身を削りながら諦めずにこの世界を生み出したのか
本書を読んで初めて知った。

それにしても、この仲間たちの熱さはどうだ。
この方々の熱意はもちろんなのだろうが、
ポスト全共闘時代とはいいながら
そのエネルギーだけは
前時代をそのまま引き継いだのではあるまいか。

「『ぴあ』の時代 掛尾良夫:著 小学館文庫
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