風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

りっきーさん

2014-08-24 | 音楽
2010年6月、
50歳目前のワタシは東京に赴任した。
入社20年目にして初めての異動は
場所だけではなく、仕事内容も初体験。
全く手探りで1からのスタートが
これまた初めての単身赴任で始まった。

仕事もわからず、28年ぶりの1人暮らしも慣れず、
不動産屋に紹介されただけの土地勘も無い下町に住み、
毎日右往左往で、正直最初の1週間で疲れていた。
そんな時、mixiで知り合った知人が
「押上に住むなら面白い天ぷら屋があるよ」
と教えてくれたのが大江戸ダイニングKOTOBUKI。
ホントはその彼とそこで飲む予定だったのだが、
仕事の都合で当日キャンセルの電話があり、
仕方なく晩メシを食いに近所をぶらぶらしていて
行く予定だったその店を見つけたのだった。

天ぷら屋なのに壁にギターが下がっていて
レコードジャケットがずらりと貼り付けてある。
かかってる音楽も好きなアメリカンロック。
あとから女将のおゆうさんに聞いたら
その時のワタシはとても嬉しそうに
ずーっとニコニコしていたとのことだった。

それから約2年。
週の半分以上会社帰りはそこ。
音楽好きを始め、次々に友人ができた。
いつしか仲間に入れてもらい、
イベントなどにも誘われるようになった。
仕事は相変わらず辛い立場だったが、
夜その店を訪れると皆が笑顔で迎えてくれ、
仕事の悩みも、辛さも、ストレスも
その日の内に解消することができるようになった。
その店の仲間はまるで家族だった。

一昨年の春、
ご主人のりっきーさんが病気となり
結局店を閉めることになっても、
そこで知り合った仲間たちが
その後のワタシを相変わらず支えてくれた。
退院した後のりっきーさんは家で療養の日々だったが、
遊びに行くと変わらずギターを弾き、音楽をかけ、
大笑いしながら楽しく過ごすことができた。
着物が好きなワタシに
亡き父君の形見の大島紬をくれた時も
「おれぁ神輿で半纏は着るけど着物は着ねぇから」
と気前の良い生粋の江戸っ子だった。
調子が悪く、なかなか会えない日が続いても
変わらずみんなの良き親父だった。

りっきーさんの悲報が届いたのは昨日午後3時。
薄々この日が近いことはみんな感じていたけれど、
いざその日がやってきたら、やはりショックは大きい。
押上の音楽仲間たちの芯が無くなってしまった気分。

ありがとう、りっきーさん。
あなたがいなければ、ワタシの東京生活は
恐らく惨憺たるものになったに違いありません。
4年ももたなかったと思う。
ある意味恩人でもあります。
本当にありがとう。
「歌、練習しといてね。ギター弾くから」
と言われてた
南佳孝さんの「しづけ変更線(日付変更線)」は
また向こうで会える時までに練習しとくから。
大好きだった酒飲んで待ってて。

今年3月、最後に会った時
岩手に帰るワタシの異動を聞いて
「そんな会社、辞めっちまえ」
と言っていたりっきーさん。
その通りになっちゃったなぁ。

合掌。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
えーーっ!? (rinrin)
2014-08-24 15:08:48
びっくりです!!!!
そうだったんですか?!?
返信する
>rinrinさん (風屋)
2014-08-24 21:35:13
そうなのです
返信する

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