風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「ふたりのウルトラマン」

2022-05-15 | 社会
今日で沖縄本土復帰50年。
そのタイミングで放送されたのが
ドキュメンタリードラマ「ふたりのウルトラマン」。


ウルトラQやウルトラマンなど
円谷プロによる大人気特撮ドラマは
当時まだアメリカ統治下だった沖縄出身の脚本家2人が
中心になって物語られていたことは有名な話。
ひとつひとつのストーリーの根底には
沖縄人(ウチナンチュー)の心情が込められていた。

とはいえ、このドラマを見て
ウルトラマンの故郷であるM78星雲が
ニライ・カナイをイメージしていたという事実に驚いた。
子どもたちに夢を持たせるために
単に怪獣を爆破して退治するだけの物語にしなかったことも。
(シーボースやジャミラの話が有名)
他のヒーローものに興味がなかった私が
このシリーズに惹かれた理由のひとつがそれだった。
ウルトラシリーズはヒューマンドラマだったのだ。

本作の主人公のひとりである金城哲夫の悲しい人生も
今回初めて知った。
「ウチナー」のアイデンティティを追い求めた金城。
「薩摩世から大和(日本)世、そしてアメリカ世からまた大和世」
沖縄が振り回され続けてきた歴史の中で
彼は「沖縄人(ウチナンチュー)」で居続けたのだが
良かれと思って手掛けた仕事が沖縄の人々から否定されたことで
金城の中で崩壊が起き、事故で命を落とした。
「晴れて日本人になれて良かったねー」という周囲の言葉に
「本土復帰と言ったって、
 支配がアメリカーから大和に変わっただけ」
と言い返した言葉が重い。
その心情を理解することなく米軍基地を押しつけ続けていることに
大和の人間として心が痛む。
当事者の心に寄り添わなければ、本当の理解は進まない。
これはジェンダーや国籍、人種などでも同じこと。
そう考えると
今日の「沖縄本土復帰50年」を素直に喜ぶ気になれない。

ところで、余談だが、
ウルトラセブンの第8話「狙われた街」の1シーンを見て
メトロン星人の言葉を改めて聞き、背筋が凍った。
「地球を侵略するのに武器はいらない。
 人間同士の信頼関係を壊すだけでお互いに殺し合うようになる」
現代のコミュニティ社会の希薄化がまさにそうではないか?
そして新型コロナウイルスにより
人間同士の距離がますます離れていっている今、
もしかしたら人間社会の危機なのではないだろうか。
ロシア、中国、アメリカ、アフガニスタン、パレスチナ・・・
本当にメトロン星人が影で暗躍しているのかも知れない。
コメント
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