風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

ご祝い

2005-06-12 | 風屋日記
 ♪ ご祝いは繁ければ お坪の松はそよめく

   上り舟に花が咲いた 下り舟に実がなる

   まるき銭は数知れぬ 黄金の倉は九つ

   雫石は名所どころ 野菊の花は二度咲く

   おゆるゆるとお控えなされ 大沢川原に舟が着くまで

   テデポ鳥は 山鳩によく似た ♪


私の地域で、ことあるごとに歌われる「ご祝い」。
懇親会から結婚式、歳祝い、花見など、
地区民が集まり、酒が入るすべての場で歌われる。
ゆっくりとしたテンポで、古めかしく物悲しい旋律で、
不思議な手拍子に乗って歌われ、1度聞くと耳に残る歌だ。
どうやら江戸時代から南部藩全体で広く歌われていたらしいのだが、
詳しいことはまったくわからない。

歌詞もよく意味がわからず、不思議な言葉が並ぶ。
一説によると、南部の殿様に召し抱えられた娘が身重で帰って来た。
殿様の落胤なのでめでたいことはめでたいが
何となく大っぴらには喜べないので、隠し歌にしたもの・・・らしい。
「野菊の花」のような娘が「花を咲かせて」「上り舟」で盛岡へ。
お腹に「実」をなして「下り舟」で帰って来た。
「テデポ鳥」のような子は殿様(山鳩)に似ている・・・。

深い意味を内包した歌詞、不思議な旋律に加えて面白いことがある。
(「テデポ鳥~」は付け足しのような形なので)
1行が1番であり、5番まである歌なのだが、
5番まで全て歌う時には「『ご祝い』を歌う」と言うが、
省略してどれか3つだけ歌う時には「『さいわい(幸い)』を歌う」と言う。
「ご」と「5」、「さ」と「3」をかけて表現しているのだ。
これはすごく洒落た言い方だ。
初めてこの表現に気がついた時には深く感心したものだ。

今月25日に行われる地元の神社例大祭に備えて、
今日の午後は神楽の練習があり、
その最後に「ご祝い」の歌い方の練習があった。
難しいが面白い。
いつか南部藩各地の「ご祝い」の収集もしてみたいと思っている。
コメント (8)
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