はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

脱 皮

2015-10-25 06:53:59 | 岩国エッセイサロンより
2015年10月23日 (金)

岩国市  会 員   角 智之

家内が屋根に落ちた枯れ葉の掃除をしていると、樋のくぼみでヘビの抜け殼を見つけた。
 この地へ引っ越して38年、ヘビを見かけることはまれだが、屋根まで登った痕跡を見たのは初めてだった。新築と同時に植えたハナミズキも大きくなり、  この枝を伝って登ったのであろう。ヘビは嫌われものだが、抜け殼を財布に入れておくと金がたまるといわれている。
 白蛇は弁天さまの使いで、縁起をかつぎ手厚く保護されてきた。干支のうち脱皮をするのはヘビだけだ。面倒な病気を抱えるこの体を巳年生まれのよしみで、脱皮させてほしいと願う。
  (2015.10.23 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

がん健診

2015-10-25 06:47:40 | はがき随筆
 去る8月、乳がんと子宮がんの検診通知が届いた。気が重いながら、75歳で申し込んだ。
 既に予定日は満員。特別なコースだけに皆さん受診申し込みは早く、ぐずぐずしているのは自分だけか。当日は折からの台風15号接近で、ひどい雨。役場前に検診車3台が待機し、女の係員が傘をさして、車内の入り口へ案内された。
 結果は何と出ようが受けて立つ覚悟。思い切り乳房を押さえられ。秘所も恥じるすべはなく終了した。後日、異常なしとの結果報告。76歳の誕生日目前、安心と喜びで自分の体にそっと触れ「ありがとう」と独り言。
  肝付町 鳥取部京子 2015/10/17 毎日新聞鹿児島版掲載


家庭教育学級

2015-10-25 06:46:08 | はがき随筆
 小3の長女の小学校で家庭教育学級に関わって2年目になる。今年はくじ引きで運営側になってしまい、毎月参加者集めや準備に苦労している。
 昔は簡単に人が集まったのではないか。保護者、特に専業主婦の母親対象に月1回、手芸や子育てに関する講座を開講すれば,社交の場としても重宝されたかもしれない。以前、公民館の方があいさつで「お集まりの有閑マダムの皆さん」と語りかけたことを思い出す。
 働く母親が増えた今、無理に仕事を休ませ、会費を払って出てもらうことに心が痛む。時代に合った制度見直しが必要だ。
  鹿児島市 津島友子 2015/10/16 毎日新聞鹿児島版掲載


主将

2015-10-25 06:44:51 | はがき随筆
 鉾立山の頂に入道雲が漂う候。私の誕生日に合わせて孫が来鹿した。道中、姉弟でいざこざがあったらしく、長男が「ばあば、僕、一人っ子がよかった」と悩みを告げる。
 事の起こりは、空港内で放浪。機内での窓側席の争奪の仲介役に疲れたとのこと。「私も長男だから気持ちは分かるが、大人になれば姉弟がいて良かったと思うよ」と諭す。「そうかな」と言いながら海洋公園プールへ。運動苦手の長男が姉弟に泳ぎのコーチをし、2人を束ねている主将ぶりを見た。この小さい束が将来、多くの束をまとめる力になると信じる。
  出水市 宮路量温 2015/10/15 毎日新聞鹿児島版掲載

いとおしき虫たち

2015-10-25 06:42:57 | はがき随筆
 菜園の縁に植えたニラが今、小さな白い花が球状になって花盛り。毎年、この花の上を腹の先に小さなトルコ石を付けたように美しいアオイトトンボが群れ飛んでいた。サツマイモのつる返しをする度に、青紫色に光るトカゲがあわてて逃げる姿がおかしかった。今年はトンボもトカゲも見当たらない。庭の奥の茂みでゆっくり羽を閉じたり開いたりしたハグロトンボは3年前から見なくなった。
 年々、小鳥や虫たちの姿が少なくなった。人の営みや気象のせいだろうか。律儀に毎夜、風呂の窓ガラスに現れたヤモリがいとおしく思えた。
  出水市 年神貞子 2015/10/14 毎日新聞鹿児島版掲載

足音の予感

2015-10-21 23:14:20 | 岩国エッセイサロンより





2015年10月20日 (火)

  岩国市  会員  吉岡 賢一 

近くに住む孫三兄弟の兄ちゃんは中学生最後の、そして三男坊は幼稚園最後の運動会となったこの秋。

手に汗握る躍動や、思わず手を添えたくなる幼い姿に、私たち応援団は声援を送り続けた。

中でも、必死の形相で脱兎のごとく土を蹴る兄ちゃんの足音は、確かな成長を物語るようで実に頼もしい。かつては、今の三男坊と同様にハラハラドキドキで応援したものである。

そんな三男坊が中学3年になったとき、どんな足音を聞かせるのか。そのとき兄ちゃんはどんな足音を響かせるのか。

ジジの夢には際限がない。


  ( 2015.10.20 毎日新聞「はがき随筆」掲載 )岩国エッセイサロンより転載

頂いた味わい

2015-10-21 23:11:58 | 岩国エッセイサロンより
2015年10月18日 (日)

    岩国市  会員      山本  一

 「うまい」。思わず声が出る。初めて出会う味わいだ。天ぷらにすると、他の山菜にはない、ねっとりとした食感がある。
 7月に趣味仲間からウワバミ草の苗をもらった。見るのも聞くのも初めてである。「早くたべてみたい」。思いと裏腹に、1週間で全て枯らした。再び無心し、今度は見事に根付く。私のドジを見越し、絶対に枯れないように根分けされたものだった。それにしても仲間全体で、1回目に十数鉢、2回目も同じ程度をもらった。その労力と親切心が味をさらに深くする。今夕は2回目の収穫。「あまり採るとまた枯らすよ」と妻が脅す。

       (2015.10.17  毎日新聞「はがき随筆」 掲載)岩国エッセイサロンより転載

頂いた味わい

2015-10-21 23:11:58 | はがき随筆
2015年10月18日 (日)

    岩国市  会員      山本  一

 「うまい」。思わず声が出る。初めて出会う味わいだ。天ぷらにすると、他の山菜にはない、ねっとりとした食感がある。
 7月に趣味仲間からウワバミ草の苗をもらった。見るのも聞くのも初めてである。「早くたべてみたい」。思いと裏腹に、1週間で全て枯らした。再び無心し、今度は見事に根付く。私のドジを見越し、絶対に枯れないように根分けされたものだった。それにしても仲間全体で、1回目に十数鉢、2回目も同じ程度をもらった。その労力と親切心が味をさらに深くする。今夕は2回目の収穫。「あまり採るとまた枯らすよ」と妻が脅す。

       (2015.10.17  毎日新聞「はがき随筆」 掲載)

スクラップ

2015-10-13 16:47:25 | はがき随筆
 はさみを片手に新聞を読む。切り抜きを始めたきっかけは安保法案である。何かせずにいられなくれなった。
 目を皿にして記事をあさるうちに沖縄基地や原発問題、戦争や難民問題、戦争現場で身をていして働く医師たちの記事……SFじみた人工知能考察の記事にまで魅せられてスクラップブックは厚みを増していく。
 新聞が平面から立体的な景色に変わった。とうとうと流れる歴史大河のまっただ中で生きているという実感がほしい。大河の流れのかなたに平和な世界を想像し、祈りながらきょうもせっせとはさみを動かす。
  鹿屋市 伊地知咲子 2015/10/12 毎日新聞鹿児島版掲載

創り出せるか

2015-10-13 16:46:58 | はがき随筆
 満76歳の誕生日から1ヶ月。その間、どれほどの努力・精進を成し遂げただろうか。結果的に怠慢が目立つ。一日一日の充実に心がけるものの、老いの甘えか気力の不足か。
 ただ、はがき随筆の投稿は続けざるを得ない。100歳まで続けても500回にも満たない。継続は力なりで張り切っていく以外に方法もない。加えて1日2㌻日記の実践。半年で1冊、10年で20冊に至る。その他、4冊並行して読書する。これが全て満足でない。
 満76歳。この1年間の勝負。満77歳に、悠々バトンタッチできる自分を創り出せるか。
  鹿児島市 岩田昭治 

傘寿を迎えて1

2015-10-10 20:02:11 | はがき随筆
 私は昭和10年、寺の長男として生まれ、先月5日で傘寿を迎えた。終戦のときは国民学校4年生であった。戦中の思い出は敵機襲来の恐怖意外にあまりないが、戦後続いた耐乏生活だけは忘れられない。社会全体が窮乏し、我が家でも田畑を耕し、牛豚を飼い、農家同様の仕事をして生活を支え、5人の子どもの学資も出してくれた。両親の姿が今も脳裏に浮かぶ。
 戦後70年。生活事情や社会の様相は変貌して、夢幻のごとしである。起伏に満ちた人生を80年も生きてきた。いくつか病気もしたが、今も寺の現役として門との方々とつながっている。
  志布志市 一木法明 2015/10/10 毎日新聞鹿児島版掲載



おかあさんコーラス

2015-10-10 19:20:43 | アカショウビンのつぶやき




鹿児島県お母さんコーラス合唱祭、終わりました。

県下53団体が参加。参加人員は一体何人になるんでしょう…。
それぞれの持ち味を生かして、さまざまなジャンルの歌を歌い上げました。

信愛コーラスは、
16世紀のマドリガル「すみれ」を原語で、他に
星野富弘さんの曲
「秋のあじさい」「たんぽぽ」を歌いました。

素晴らしい合唱曲です。
あれこれ反省点もありますが、まあ良しししましょう…。

楽しく歌えたことが最高♪♪。




桜島は珍しく噴煙一つ見えず穏やか。



陸の孤島、鹿屋市からは錦江湾を渡らないとなりません。
今日のフェリー、第二桜島丸は新しく就航したのでしょうか、快適な環境でした。

by アカショウビン

ウサギさん

2015-10-10 19:10:48 | アカショウビンのつぶやき



隣の姪っ子のペット、ウサギのココアちゃん。
生後5ヶ月ですが、今日はリードを付けて「うさんぽ」デビュー。

ホーランドロップイヤーの腕白ウサギです。
先代ウサギのモモちゃんは、弱虫でうさんぽデビューでは、怖くてフリーズ。

ところがココアは大喜びでウサギ跳びです。
そろそろ頭の冠毛もきれいに生えてきました。

by アカショウビン


毎日ペンクラブ鹿児島の大隅地区例会

2015-10-10 18:50:28 | 毎日ペンクラブ鹿児島






毎日ペンクラブ鹿児島の大隅地区例会でした。
鹿児島市から毎日新聞鹿児島支局・西貴晴支局長をお迎えし、参加者6名で合評会をもちました。

西支局長は今年、鹿児島に着任されたばかり、お互いに自己紹介をもって、和やかな会を始めました。

それぞれ持ち寄った作品に感想を述べ合い、最後に支局長の講評を頂きました。
的確な支局長の指摘には「なるほど…」と全員納得。とても良い勉強会でした。

お世話役の咲子さんは、席を三角形にセッティングしてくださり、新鮮な雰囲気で楽しい勉強会でした。

by アカショウビン

兄妹

2015-10-10 18:42:56 | はがき随筆
 西の空にあかね色が差そうとしています。私は団地の歩道に立っていました。三叉路の方からかばんを背負った中学生の少年と4.5歳くらいの女の子が手をつないでこちらに歩いてきます。2人は兄妹でしょう。
 妹は兄ちゃんを見上げながら話しかけています。兄ちゃんはゆっくりと歩きながら、にこにこと受け答えしています。2人は話しながら私の前を通り過ぎていきました。
 中学生男子、何かと難しい年ごろです。2人は私に温かいものを残してくれました。
 見送りながら2人と家族に祝福あれと念じることでした。
  鹿児島市 野崎正昭 2015/10/9毎日新聞鹿児島版掲載