はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ミステリー1

2006-05-15 22:11:51 | かごんま便り
 鹿児島に着任して、あちこちで講演する機会を得ている。ある会場で「テーマは何でもいいですから」の依頼に、思い切って学界からの支持はほとんどない「歌に秘められた暗号」なるものをテーマに話した。
 十数年前に、その不思議な説を知り、一概に否定は出来ない内容だと思った。以来、機会ある度にその事について書かれた本に触れ、自分なりに読み知った内容をしゃべったところ、会場の皆さんも関心を持たれたようだった。今回は、その説をこのコーナーでも紹介したい。
 ◇前置き◇
 和歌や俳句などの区切れの部分の文字を拾って意味を持たせたのが「折句」。例えば伊勢物語にある歌。
 からころも
 きつつなれにし
 つましあれば
 はるばるきぬる
 たびをしぞおもふ
 上の1字を拾って読めば「かきつばた」と花の名前が出てくる。
 次に徒然草の吉田兼好法師が、親友の頓阿法師に送った歌。
 世にも涼し
 寝覚めの仮庵
 手枕も
 眞袖も秋に
 隔てなき風
 同じように上の文字を拾うと「米賜へ」。下には「銭も欲し」。
 頓阿法師の返歌。
 夜も憂し
 ねたく我が背子
 はては来ず
 なほざりにだに
 しばしとひませ
 上に「米は無し」、下に「銭少し」の言葉が折り込まれている。兼好法師も生活に困っていたようで、親友も助けたいが事情がある。それを歌を通して連絡し合うとは、大らかで気持ちには余裕がある。
 上の部分に読み込むことを「冠(かんむり)。下の部分は「沓くつ)」と言う。
 ◇本 題◇
 ここからが不思議な説で皆さんご存じの「いろは」歌。
 いろはにほへと
 ちりぬるをわか
 よたれそつねな
 らむうしのおく
 やまけふこえて
 あさきゆめみし
 ゑひもせす
 「沓」(下の部分)に「とかなくてしす」。「とか」は「咎(とが)」で罪のこと。「罪がなくてしす」。となり、これは大変な事が隠されている歌になる。えん罪事件に巻き込まれた人物か、あるいは知っている人物か、あるいは知っている関係者が作ったと考えられ。それは誰か──。(続く)
 2回に分けて、講演内容を紹介します。次回をお楽しみに。
   毎日新聞・鹿児島支局長 竹本啓自   (毎日新聞 鹿児島県版 2006/5/15掲載より)
 


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1 コメント

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Unknown (おたくさ)
2006-05-16 18:13:12
おもしろいですね。

「かきつばた」は聞いたことがありますが、

他のは知りません。

次回を楽しみにしています。
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