短大の卒業は昭和30年3月。母の裾模様の紋付きにサージ新調の袴を着けた。「おおきに卒業できました」と母へあいさつすると「勉強は一生すいもんじゃ、終わりはなかど」と一喝。半年してやっと勤め先の右左がわかりはじめたので通信教育を受けることにした。もちろん東京のである。既修単位の認定が済んで入学許可になった。次の夏スクーリングに行き、品川の会社の寮からお茶の水まで歩き、YMCAの店に入ってカレー注文。やたら水をのんだ。カレーが出る頃はもう心身ともに水に満ちあふれてしまった。東京、夏の初日の思い出だ。
鹿児島市 東郷久子 2016/9/5 毎日新聞鹿児島版掲載
鹿児島市 東郷久子 2016/9/5 毎日新聞鹿児島版掲載
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