8月15日に全国戦没者追悼式がテレビで放映される。その時父母と姉、私は正座し式典に参加している気持ちとなった。
従軍記者の経験がある父は戦地のことを語るのだった。ある日、行軍中に相手から突然発砲を受けた。命令が出ないので自分が「伏せ! 伏せ!」と大声を発したと。危機一髪での命拾いであった。「最前線へ行ってきた」と言うのが父の口癖であった。
最前線の状況を、妻や子供に話すのは悲惨で辛かったはず。テレビの前で深く頭を垂れた父の胸中を思う。15日の父の祈りは他界するまで続くのだった。
宮崎県延岡市 源島啓子(72) 2020/8/15 毎日新聞鹿児島版掲載
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