はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

雨の音

2016-10-06 05:59:21 | はがき随筆
 近くの学校に垂れ幕がある。生徒会スローガンで「水滴石穿」とある。わずかな一滴ずつでも固い石に穴をあけるように、努力を繰り返す大切さを掲げたものなのだろう。我が家の雨どいの下にもなるほど穴があいている。今夏の豪雨のせいかもしれない。大粒の雨音を聞く度に被災地のご苦労をよく想像する。被災した方々がいま取り戻そうとしているのは地震以前の日常である。私は毎日の家事、育児を一つ一つは大したことではないと思ってしまう。けれど、それらを日々繰り返せるということは、実はかけがえない幸福ではないのか、と改めて思う。
  出水市 山下秀雄 2016/10/5 毎日新聞鹿児島版掲載

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