はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

母への想い

2020-08-31 14:12:48 | はがき随筆
 私、75歳。終戦の年の2月満州で生まれた。20代半ばの母は4歳の姉の手を引き、私を帯で抱きリュックを背負って引き揚げてきた。やがて母の母乳も出なくなり、私はやせて骨皮となり歩き始めるころには自由が利かず、成長期は食糧難で体も満足に発達せず大人になった。引き揚げ船の中では乳飲み子が亡くなり海に投げている人が多くいたと聞いた。母は私をあの時は可哀そうだったといつも言っていたと姉から聞かされた。自分の事より我が子を心配する母を何と強いんだろうと思う。不安と心細さはどんなものだっただろう。お蔭様で生きています。
 熊本県合志市 古城紀久子(75) 2020/8/29 毎日新聞鹿児島版掲載

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