夫の病室の窓から、救命救急センターのドクターヘリが間近に見えた。遠くの山々と大空を背景にじっと出番を待つ姿は、頼もしく緊迫感があった。
突然ヘリの翼が回り始めた。その時が来た。数名が迅速に乗り込むと一段と勢いよく回り凄い音をたてた。ふわっと浮いた後くるっと向きを変え飛び去った。夫は手術を終え眠っているが、今救助を待つ人がいる。間に合ってほしいと願った。
1時間ほどでヘリが帰還し定位置に静かに着いた。無事救命できただろうか。薄紫の夕焼けの中しばらく機体整備が続いた。いつでも飛び立てるように。
宮崎市 堀柾子(74) 2019/10/3 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます