はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

悲しみを背負って

2019-09-16 18:14:35 | 岩国エッセイサロンより

2019年9月 2日 (月)

     岩国市  会 員   横山 恵子


 父が亡くなった約7年前から度々お寺に参っている。我が墓近くに見覚えのある名字。もしかして以前勤めていた老人施設に入所してたEさんでは。
 そう思っていたある日、「お母ちゃーん、会いに来たよー」とお墓めがけて走って来た人は、やはりEさんの娘さん。「母の十三回忌を終えました。父は特攻隊員だったので墓には石しか入ってませんし、幼かったので顔も覚えてない」
 淡々と話される中に深い悲しみを感じた。本人の無念さ、遺族の苦労は想像以上だったろう。
「よう頑張ってこられました」と言うのが精いっぱいだった。
(2019.09.02 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

 


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