はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆6月度入選

2009-07-25 22:12:54 | 受賞作品
 はがき随筆6月度の入選作品が決まりました。
△鹿児島市上荒田町、高橋誠さん(58)の「日食の観察方法」(14日)
△同、高橋真理さん(60)の「ガマの油売り」(30日)
△出水市上知識、年神貞子さん(73)の「ぞうり」(19日)
 
の3点です。

 思い出ばなしと言ってしまえばそれまでですが、今月はかつて経験したことを懐かしく思い出した、心温まる文章が目立ちました。それが単なる昔話ではなく、現代的な問題への批評にもなっていました。上手に思い出すことはなかなか難しいことです。
 高橋誠さんの「日食の観測方法」は、小学校の時の「すすガラス」での日食観測を思いだしていると「県広報紙」では、それではダメだという。
さて「急いで、日食メガネを買い求めなければ」という結びに、ぴりっとしたワサビが効いています。庶民は情報にほんろうされます。
 高橋真理さんの「ガマの油売り」は、役所広司の映画から「ガマの油売り」の話題に花が咲き、ご主人が子供の時、級友が路上で、ホクロをガマの油を付けて取ってもらった話になったというものですが、文章のスピードが魅力的です。かつての路上にたくさんあった「子供たちの好奇心をかきたてること」は、今はどこへいってしまったのでしょうか。
 年神さんの「ぞうり」は、古着でぞうりを作って愛用している。その作業中に、小学校の時の隣のおじさんのわらぞうり作りが不思議だったことを思い出したという内容です。あのころは確かに子供にとって不思議なことが世界には満ちていました。これも「こぞの雪今いずこ」といったところです。
 以上が優秀作です。次に数編を紹介します。
 御領満さんの「舞台裏」(4日)は、出張先の居酒屋で見た、店員が落としたおにぎりを焼き直して客に出した話です。この舞台裏、人によって反応はいろいろでしょうが「もったいない」と考えましょう。新開譲さんの「電気と石油」 (26)日は、昔は電気より石油が安かったのに、今は石油より電気になってしまった、今後どうなることやら、という心配が「ランプのホヤ磨き」の思い出の中で書かれています。
この他、鵜家育男さんの「愛情弁当」(10日)や、鳥取部京子さんの「5歳の知恵」(8日)が記憶に残りました。

(日本近代文学会評議員、鹿児島大名誉教授・石田忠彦)

………◇投稿規定◇………  
 だれでも投稿できる ミニ随筆です。日常生活の印象的な出来事を日記がわりに、気楽に書いて下さい。作品は文章部分が250字前後(14字×18行)。他に
7字以内の題。住所(番地まで)、氏名、年齢、電話番号を明記し、〒892-0847鹿児島市西千石町Iの32 鹿児島西千石町ビル 毎日新聞鹿児島支局「はがき随筆」係へ。はがき、封書など書式は問いません。新人の投稿を歓迎します。

 係から 入選作品のうちI編は25日午前8時40分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。





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