はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

山と音と風と

2020-08-18 17:11:38 | はがき随筆
 一時の晴れ間に、栗の木の下草を切る。全身に浴びた日差しは暑く、汗が流れ落ちる。
 1時間ほどで機械を止め、切った草の上に腰を下ろす。取り換えたタオルで顔を覆い汗を鎮めた。遠くの国道を走る大型車の音が近づいては消え、耳を澄ませると、かすかに五ヶ瀬川の瀬音が入ってくる。
 静けさの中のその音は目を閉じていると眠りにさえ誘われる。「山はいいなぁ」。空気がいい。風がいい。
 下界ではグレーに似た風が吹き続き、やむ兆しが見えない。
 いつになったら平穏な風が戻ってくるのだろう。
 宮崎県延岡市 川並ハツ子(75) 2020/8/18 毎日新聞鹿児島版掲載

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