はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

夢の途中

2011-01-14 21:49:37 | ペン&ぺん
 新成人のNさんへ。
元気で素直な20歳の男性を紹介してくれて、本当に助かりました。
彼は新成人のアンケートにも、しっかり答えてくれたよ。「政治に関心はありますが、政治家は足の引っ張り合いしている悪いイメージが強いです」。そんな率直な回答をしてくれた。
 でも、サッカー部員の彼と話が盛り上がったのは、やっぱりサッカーの話。サッカーのことになると、声の張り、目の輝きが違ってきて、この子は本当にサッカーが好きなんだって分かった。
 昨年11月の高校サッカー福岡県予選。同点でPK戦になり、しかも決着がつかず、22人がゴールに向かって、蹴り続けた。「あれ、すごいですよね」「うん、うん」。そんな話で、盛り上がった。
 20歳。僕の長男も新成人。地方の国立大の2年生。お祝いに、エリック・クラプトンのCDを贈った。Nさん、クラプトンは 知ってるかな? 有名なギタリストで、歌手でもある。一番有名な曲は「レイラ」かな。長男に贈ったCDは、ブルース・シンガーに歌わせてクラプトン自身はギターだけを弾いている。その演奏が、すんごく楽しそうに聞こえるんだ。クラプトンって、結局、ギターが好きなんだよ。
 紹介してもらったサッカー部の彼と、僕の長男には共通点がある。長男はギターを弾き、バンドをやっているのだが、「どこに就職できるか分からんけど、ずっとギターは弾いていく」と言う。サッカー部の彼も「アマチュアチームでもいい。社会人になってもサッカーを続けたい」という。
 Nさん、これって大切じゃない? おカネを稼ぐだけが、大人になることではない。自分の夢を、ずっと持ち続けることが、きっと大事だよね。Nさんの夢は「世界を旅して、いろんな人と友だちになる」だね。あきらめないで。強く願えば、夢はかなうよ。きっと。
 鹿児島支局長 馬原浩 2010/1/11 毎日新聞掲載

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