はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

早春

2008-03-24 08:43:47 | はがき随筆
 日の出が6時半となり、春の夜明けは考えていた以上に早くなってきた。いつものように5時半に家を出て海岸に向かう。東の空がかすかに明るくなり、山の稜線が黒い影を見せてくる。水平線の漁(いさ)り火がそのうち色あせ、春のあけぼのである。次第にあたりが明るくなり、渚に寄せる波の音がやさしい。
 長い冬が終わってようやく春になりうれしいが、人生の残りがもう少ない。それでも、いのちの行方を見つめながら、必死に生きてみたい。せっかく美しい春を迎えたのだから……。そして春を彩る花を愛してゆきたいものである。
   志布志市 小村豊一郎(82) 2008/3/24 毎日新聞鹿児島版掲載

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2 コメント

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朝 命 (Michi)
2008-03-24 16:46:52
朝は、朝しか沸き出ない真摯な思いが
湧き出てきますね!
残りの人生を考えていると、なんと人間は
淋しいものかと考えてしまいます?
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春のあけぼの (アカショウビン)
2008-03-25 08:00:19
michiさま

早朝の散歩から生まれるKさんのエッセイは一幅の絵のように美しいでしょう。

現役の老医師Kさんは、老いの寂しさを滲ませながらも、エッセイ、短歌、俳句など意欲的に投稿を続けておられる方です。

古稀を過ぎた私の日々も、残りの人生とは考えず、今日も与えられた尊い一日と感謝して生きたい!!
と私は思っています。
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