はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

母の面影

2008-12-27 19:10:11 | はがき随筆
 母は、平成10年に満95歳でこの世を去った。もう10年も過ぎているのになぜか母の面影をふと思い出す。母の生地は豊前国・中津市の郊外であるが、縁あって志布志の一角にある寺に嫁いできた。お嬢育ちだったようだが、戦後の貧しさを乗り切るために農業もして子育てをした。母は女学校で学んだのか、漢字やことわざをよく知っていた。少々の英語も理解していた。百人一首は老いてからもほとんど暗唱しており、我々子供は及ばなかった。元気で一緒にくらしていたころは口げんかもよくしたのに、なぜか母のまぶしい面影ばかりが思い出される。
   志布志市 一木法明(73) 2008/12/23 毎日新聞鹿児島版掲載

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