新入学の緊張も解けて、大学生活に慣れ始めた5月、母から小包が届いた。中にはレンガ大の黒い携帯ラジオと手紙があった。居合わせた級友たちに「母の日のプレゼントだ」と言うと「逆やっがね!」と皆笑った。
久しぶりに見る母の字。「この6年間、家事をありがとう。母親らしいことを何もしてやれずごめんね。何とか起き上がれるようになりました。安心して学業に励んで下さい。母より」
うっと混み上げてくるものに耐え続けていたあの日──。
母が好きだった冬の花が開き出した。寝たきりだった母の胸中を思うのだ。
出水市 中島征士 2010/12/17 毎日新聞鹿児島版掲載
久しぶりに見る母の字。「この6年間、家事をありがとう。母親らしいことを何もしてやれずごめんね。何とか起き上がれるようになりました。安心して学業に励んで下さい。母より」
うっと混み上げてくるものに耐え続けていたあの日──。
母が好きだった冬の花が開き出した。寝たきりだった母の胸中を思うのだ。
出水市 中島征士 2010/12/17 毎日新聞鹿児島版掲載
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