浜松市の小学校で起きたノロウイルスの集団食中毒。12~1月が流行のピークで感染力が極めて強く、吐き気や嘔吐、下痢などの症状が出る。高齢者や子供は自分の嘔吐物を吸い込んで、肺炎や窒息を起こすことがあり、油断は禁物だという。
今月2日、母(84)が早朝から嘔吐と下痢を繰り返した。ベッドの中の母の顔はげっそり。病院へ連れて行こうとすると「大丈夫。寝ていれば治る」と。でも、よほどつらかったみたいで「やっぱり、連れて行って」。
正月に診察してくれるのは休日当番医。古里は人口10万人の街だが、待合室は大混雑し、診察までの待ち時間は3時間。母を待合室で長時間待たせるわけにもいかず、予約をして再び3時間後に母を連れて病院へ。点滴をし、処方してもらった薬を飲み、安静にしていたら3日ほどで回復した。
母用のおかゆを作り、市販の消毒剤でトイレや廊下など拭き掃除した。母は「すまないね。でも、あんたがいてくれて良かった」とホッとした様子。でも、私が帰省していなかったらと思うとゾッとした。母は元気になり、通常の生活を送っているが、これが認知症で徘徊したり、病気やけがで寝たきりになったら……。考えただけで眠れなくなる。普段は元気だが、急病で倒れた1人暮らしの高齢者は一体どうしたらいいのか。
親の介護に直面している働き盛りの同僚、知人がいる。同様の問題を抱えている人たちは増えるばかりだ。優秀な人材なのに高齢の親の面倒をみるため、退職したり、昇進を辞退したりと。
母の看病で年が明けたのも「健康と親を大切にしろ」と何かの暗示かも。母の件で「1年の計は元旦にあり」ではないが、今年は高齢者や福祉問題を勉強しなければと痛感。皆さんも病の早期発見、予防の徹底で午年を乗りこなしましょう。
鹿児島支局長 三嶋祐一郎 毎日新聞鹿児島版掲載