はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

我が家の元旦

2014-01-20 16:49:00 | はがき随筆
 誰も来ない。どこへも行かない。いつもと変わることなく、夜明け前の4時に起き、トーストをコーヒーで流し込んでから、妻を起こし二人で散歩に出るのは5時、新年を迎えた朝である。
 海岸線に初日の出を見ようと人が集まる頃家に戻る。朝風呂を浴び、お節料理が並ぶテーブルに着き、化粧をする妻を待つ。
 ビールで乾杯。ここでお年玉と日記を手渡す。日記は妻の365日をひそかに記録したもので、お金は残らないがこれなら残ると思っている。杯はすすみ、今年の夢を語る。二人だけの穏やかで静かな元旦である。
  志布志市 若宮庸成 2014/1/20 毎日新聞鹿児島版掲載 

鬼火たき

2014-01-20 16:40:25 | はがき随筆
 亡母の里の「おねっこ」が今年も地方紙面を飾りました。
 昨春、地域の小学校が閉校になりました。だからOBとしてその行事に関わるつもりだった一つ下の叔父は昨年後半から体調を壊し、入退院を繰り返し、暮れにはついに自宅療養でベッドから離れなくなりました。さぞ残念だったことでしょう。
 私の育った里にも同じような風習があり、「おのひけ」といっていましたが、今は廃れてありません。正月行事で鬼火たきやおねっこは載っていますが、おのひけはどうなったのでしょう。無病息災を願う新年に思うことでした。
  いちき串木野市 新川宣史 2014/1/19 毎日新聞鹿児島版掲載