はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「春来にけらし」

2013-03-08 22:53:33 | 岩国エッセイサロンより
2013年3月 6日 (水)

岩国市  会員   山下 治子

 毎朝6時きっかりに、響くバイク音。今日も元気で出勤のようだ。行ってらっしゃい、気をつけて、と心が声を掛けている。夜8時過ぎ、家の前をブルブル音を立てながら、ゆっくりパイクが通り過ぎる。無事お帰りだ。お疲れ様、と安堵する。
 この音の主、誰かは知らない。近くに住む若者らしいが、いつの頃からか、変わりなく聞いている。
 患って、しばらく職を離れていた息子が、ようやく動き始めた。朝に出て夕に帰る。当たり前で普通な生活は、何と安らぐことだろう。庭に咲き始めた梅が笑って見えた。

 (2013.03.06 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

スズメの境界線

2013-03-08 21:42:05 | はがき随筆


 今年は寒気の強いせいか野鳥が多い。
特にヒヨドリ、メジロなどにぎやかである。
朝早くヒヨドリが来ると、スズメたちが庭に南角のシモクレンの枝に17.8羽集まり、さえずる。
そこにヒヨドリが近づくとパット逃げるが、必ず一定距離を保ち監視している。
ヒヨドリの目的は妻の用意したメジロ用のミカン。
用心深く左右を見て先客のメジロを追い、大きい顔をしてつついているが、
人影を見るとサッと逃げる。
その間スズメたちは周りを忙しく飛び回っている。
小さいスズメたちにも境界線があると、感心して冬の面白い風景を眺めている。
  鹿屋市 小幡晋一郎 2013/3/8 毎日新聞鹿児島版掲載

私のおひな様

2013-03-08 21:27:31 | はがき随筆


 「お母さん、このおひな様モロッコに持っていってもいい?」「どうぞ、あなたの物だから好きにしていいのよ」
 間もなく、モロッコにいく予定の、手作り木目込み人形。 
 30年も前に、こつこつ創った我が家の宝物です。いつ持っていくのかなあ。押し入れで出番を待っていたおひな様。
 そんな折り、初めての試みとして「阿久根のひなまつり展」が開催され、そこに展示されることになりました。
 腕はさておき、心を込めた作品はいいですねぇ。
 スマートフォンで、娘に写真を送りました。
  阿久根市 別枝由井 2013/3/7 毎日新聞鹿児島版掲載