はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

早起きは三文の得

2010-04-22 16:24:11 | はがき随筆
 昨日は聞き逃したのですが、今朝、お話の半分をしっかり聞きました。ラジオ深夜便、「心塾」あしなが育英会の会長のお話。今日のキツイ日本へ再興の必要を教育を通して語る50分。まるで私は学生の時のようにメモしながら、うなずきながら聞きました。
 1日17時間勉強する幹部養成大学。海外へ全部の大学生を生活と勉強のため1年出す必要を解く。
 片手I杯の食、1日泥水1杯の国が地球上に存在すること。そんな国から心塾に来た子の根性、覚えが早いと。興味津々の得でした。
  鹿児島市 東郷久子(75) 2010/4/22 毎日新聞鹿児島版掲載


小児病棟で

2010-04-22 16:13:21 | はがき随筆
 大阪時代、次女が小児病棟に3週間入院したことがあった。
 面会の時に記帳するようになっていたが、祖母らしい人で記帳に長く時間のかかる人とよく一緒になった。代筆しましょうかと声をかけるのも失礼だと思ったりしつつ結局、私は帰りに記入するようになった。
 しばらくしてその人を見かけなくなり、やがて重症者室に入っていた少女が亡くなったと伝え聞いた。
 いとしい孫を自分より先に見送らねばならなかった人の悲しみが、祖母となった身に切なく思い出される。あの病棟とともに思い出される。
  霧島市 秋峯いくよ(69) 2010/4/21 毎日新聞鹿児島版掲載

身代わりの木

2010-04-22 15:56:56 | 女の気持ち/男の気持ち
 毎年この時期、底のトサミズキが薄緑色の花を咲かせていた。が、今年は見ることができなかった。
 昨年3月、夫が他界した。同じ日に私も重篤な状態になり、息子たちを青ざめさせたが、主治医や看護師の手厚い治療のおかけで、4ヵ月の入院ののち帰宅できた。
 帰ってみると玄関わきが妙に明るいし見通しがいい。「あれっ」と我が目を疑った。毎年のように根元から出てくる枝を情け容赦なく切り落としていたにもかかわらず、たくさんの花をつけていたこの木が枯れていたのだ。
 私は20歳代のころ重い肝臓病を患ったが一命をとりとめた。その時、見舞いにいただいたのがこの花だっち。何ともとも優しい色合いと、提灯のようにぶら下がるこの花に魅せられ、いつかわが家の底にもと思っていた。
 この地に居を構えて間もなく偶然苗木を見つけ、念願を果たしてから二十数年。この木はわが家の悲喜こもごもをずっと見ていたに違いない。特に虚弱な私は何度となく家族を心配させてきた。
 介護の疲れとはいえ、昨年の病気は今までで最悪のものだった。もしかしたらトサミズキは私の身代わりになってくれたのかもしれない。切り株になった姿を見るたびに、熱いものがこみ上げてくる。
 いつかまたこの苗木に出合えたら、もう一度植えようと思っている。
  福岡県宗像市 渡辺 美実・67歳 2010/4/20 毎日新聞 の気持ち欄掲載
写真はネロさん

タイムスリップ

2010-04-22 15:33:42 | はがき随筆
 春風が鹿児島市から、40数年前の教え子たちを連れてきた。
 昨年、彼女たちの同窓会に欠席した私や、半身不随の妻を案じて訪問してくれたのである。迎える老夫婦に4人が喜ぶ。
 セピア色の写真や文集を見せると、中学時代にタイムスリップ。「みんな細くて可愛い~」とか「お互いに大きな夢があったよね」と言い合う姿がほほ笑ましい。淑女が「昔は髪がふさふさのイケメンだ」と私を冷やかすので、頭を両手で隠すと、笑いが部屋をつつむ。
 客は「夏には他の人が来ます」とうれしい言葉を残し、陽光を背に帰って行った。
  出水市 清田文雄(70) 2010/4/20 毎日新聞鹿児島版掲載

○○めまい症

2010-04-22 15:31:31 | はがき随筆
 ベッドで夜中、右へ寝返りを打った途端、意識がスーッと遠のいて行くような、頭がフワフワするような、吸い込まれていくような、何とも嫌な気分に襲われた。頭を左へ倒すと、やはり同じ症状が…。発作は数秒で回復したが、不安な気持ちで翌日耳鼻科へ。検査の結果「良性突発性頭位めまい症」と告げられた。「良性」という言葉に少しホッとした。そして折よくその晩、NHKテレビの「ためしてガッテン」でこの病気がテーマに。原因はどうも日ごろ寝たままで長時間テレビを見ていたことにあるらしい。生活習慣病かもと反省しきりの私です。
  霧島市 久野茂樹(60) 2010/4/19 毎日新聞鹿児島版掲載