はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

万歳、上村選手

2010-03-16 22:37:05 | はがき随筆
 4年前の冬季オリンピックはフィギュアの荒川選手の金メダルだけに終わった。だが今大会の日本は銀3、銅2の5個となった。金メダルがないのは残念だったが、話題満載のわくわくする日々であった。
 4位でメダルに手が届かなかったモーグル、上村選手の「なんで一段一段なんだろう」の言葉に目頭が潤んだ。オリンピックに4度挑み、願いがかなわない。ファンとして胸が締め付けられる思いであった。
 7日、彼女の吉報が届く。オリンピック銀、銅の選手を抑えW杯で今季初優勝。地道な上村選手はやはり本物だった。
鹿児島市 鵜家育男(64) 2010/3/16 毎日新聞鹿児島版掲載

自然の姿

2010-03-16 21:40:13 | はがき随筆
 今年も庭の八重椿が見事な花を咲かせている。「年年歳歳花相似たり」。自然の姿と思いながらも、その美しさに心和む思いである。
 そんな朝、ウグイスの初音を聞いた。目を凝らして見ると赤い椿の小枝がひそかにに揺れている。「あっ居た」。小ぶりの姿が見え隠れして、練習中の鳴き声を披露してくれる。思わず「頑張れ」と声援を送り、私までルンルン気分に浸っていた。
 そんな時、電話が鳴り、叔母の訃報を聞いた。95歳だった。
 「年年歳歳人同じからず」。これもまた、自然の姿なのかと叔母をしのんだ。
  鹿児島市 竹之内美智子(75) 2010/3/15 毎日新聞鹿児島版掲載