はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

千生りほおずき

2009-11-24 18:35:51 | はがき随筆
 小学生のころ、暑い夏の日にサツマイモの草取りをしていた時、畝に自生していた千生りほおずき。畑から消えてずいぶんたったころ、車で20分くらいの山の中腹にある牧場でそれを見つけた。この夏、久しぶりに行ってみた。朽ちかけた棚の外には何もなかった。
 そしてこの秋、いとこの出水の畑で枝豆ちぎりの時、土手の周囲にうっそうと繁っているほおずきを目にした。私の中で「絶滅品種」になりかけていたそれがひっそりと息づいていた。2、3㌢の小さな実をつけて。
 3株程もらい、わが家の雑草園の仲間入りをした。
  薩摩川内市 馬場園征子(68) 2009/11/24 毎日新聞鹿児島版掲載
画像は馬場園さん提供

狭いながらも

2009-11-24 16:33:02 | はがき随筆
 わが家は長い間借家住まいだった。小学生の長女次女がいつも紙で家を作って遊ぶ。「お父さん小さい家でもいいからお家が欲しいネ」と言っていた。
 小さい家欲しいネー子供たちの教訓で発奮、多くの人様のお知恵と資金を拝借。新築落成の時は家族皆で大喜び。その後は紙の家作り遊びは止めたようだ。親たち同様どんなにお家が欲しかったか。
 私38歳だった。今は娘たちそれぞれ3人ずつの子供と家ももうけている。時折孫たちでわが家はパンクしそう。じい、ばあは目を細め幸せ味わい、狭いながらも楽しいわが家である。
  伊佐市 宮園続(78) 2009/11/23 毎日新聞鹿児島版掲載