はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

戦友忌

2008-05-11 14:52:18 | はがき随筆
 庭の八重桜が果てて葉桜となり、今年もまた5月13日が巡ってくる。
 私が訓練を受けた飛行学校では、寝台の両隣を戦友と呼んだ。戦友とは一心同体ですべての事にあたる。思いは兄弟以上だ。飛行学校での基礎訓練を終えてそれぞれの進路へすすむ。私は加古川へ、戦友は菊池へ配置された。笑顔の別れだった。
 その菊池教育隊が昭和20年5月13日、敵機動部隊の波状攻撃を受けて少年兵など37人が戦死し、私の戦友も犠牲となった。15歳だった。日本陸軍史上、最年少の戦死者だと思う。
わが戦友永久(とわ)に十五の八重桜
   鹿児島市 福元啓刀(78) 2008/5/11 毎日新聞鹿児島版掲載
   写真はさくらさん