はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆3月度入選

2006-04-26 11:57:51 | 受賞作品
 はがき随筆3月度の入選作品が決まりました。
△ 鹿児島市紫原、高野幸祐さん(73)の「春見つけた」(23日)
△ 薩摩川内市樋脇町、下内良幸さん(76)の「娘に感謝」(1日)
△ 鹿児島市山田町、吉松幸夫さん(47)の「一期一会」(27日)の3点です。
 春本番ですね。たくさんの方々が春の花や鳥への思いを、行事の楽しさや喜びを、全身でたっぷり書きました。神田橋弘子さんの「春遠からじ」、古木一郎さんの「春待つ心」、吉利万里子さんの「花便りが元気の源」、東郷久子さんの「シクラメン」、馬渡浩子さんの「レンゲの花」、川畑マスミさんの「春告鳥」、横山由美子さんの「針供養」、中田テル子さんの「初午祭」、口町円子さんの「ツクシ取り」といった具合です。
 春を称える文章はいいものですが、高野さんの「春見つけた」は、春の証しを求めて公園に急いだ高野さんが、桜もカエルもトカゲも見あたらず、がっかりして近くのスーパーに入りブロッコリーの大きさと値段の安さに驚き「これが春なんだ。都会の春は野菜の値段にあった」と思う、というもの。高野さんの見つけた春は野菜の値段の安さでした。日常にある春を発見した面白さと、さらさら流れる文章の魅力が個性的で面白く読みました。
 さて春は良い話題が豊富です。下市さんの「娘に感謝」は、病気の母とその介護や慣れぬ家事をする父親のために、明るい雰囲気の中で大変に働く娘の話。吉松さんの「一期一会」は、お年寄りを助けようと近寄ったら少しでも人の役にたとうとして、たばこの吸い殻を拾うところだったという話です。竹之井敏さんの「小さな試み」は、認知症予防のため書いた文章が100枚になったということ、家族のために動く竹之内美知子さんの「ばあばは忙しい」、上野昭子さんの「20個片付け」など、皆さん自分のための努力ですね。
(日本文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)

係から
 入選作品のうち1編は29日午前8時40分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。作者へのインタビューもあります。「二見いすずの土曜の朝」はのコーナー「朝のとっておき」です。

お帰り

2006-04-26 11:22:55 | はがき随筆
 モモの花が咲き誇るころ、熊本県山鹿市に住んでいた長女が、4歳になった孫娘と我が家に戻ってきた。
 一昨年、夫を突然亡くした長女は、働きながら子育てを頑張ってきたが、疲れや寂しさから「帰ってもいい?」という電話に「いいよ」と私たち。「お帰り」に首をかしげる血液型O方の孫娘は、B型家族の執り成し役や主人公になりそうだ。
 ゆっくりしたら……と思う親心を背に「仕事や保育園さがしに行く」と出かける娘が心強い。
 古里に帰ってきた娘や孫のためにも、若い心でハッスルハッスル。
   出水市高尾野町柴引 清田文雄(66) 2006/4/26 掲載