晩秋から翌春の寒い時節に 家々の庭先や里山に 赤やピンクその他多彩な花を咲かせるのがツバキ。ヤブツバキ(藪椿)やツバキ(寒椿)やサザンカ(山茶花)など みなツバキ科ツバキ属だが、ヒトや地方によっては 雪椿や侘助や林檎椿など品種名で呼ばれる。
よくツバキ(藪椿)とサザンカの違いや見分け方を問われる。ふだんツバキ類に触れたり、よく見たりする人は、ずばり”見た感じで”すぐ見分けられるようだが、一般の人々には結構難しい。参考までに、ネットの検索などから概ねの見分けポイントを列記すると、つぎのとおり。
ヤブツバキ(藪椿) ツ バ キ ( 椿 ) サザンカ (山茶花)
・花の見た目 ・ややカップ咲き ・やや立体状で厚い ・やや平面的で薄い
・開花の時期 ・2月~4月 ・12月~4月 ・10月~12月
・花の落ち方 ・花全体が落ちる ・花首から落ちる ・花びらが落ちる
・葉表面の感じ ・濃緑色で楔形 ・暗緑色で葉脈がクリア ・深緑色で葉脈が黒い
・葉の縁周り ・ギザギザが細かい ・ギザギザが浅い ・薄いギザギザ
・葉の裏側 ・淡緑色で毛がない ・緑色で毛がない ・葉脈に毛がある
一般にツバキ(椿)と云われているものの多くは、ヤブツバキ(藪椿)が原種で概ねは交配種。寒い地方で雪椿と呼ばれているものや暖かい地方で林檎椿(リンゴツバキ)と呼ばれているものなども、それぞれの地域でヤブツバキ(藪椿)と 混生していたりする。猪口咲きの侘助や白く大輪で咲く京ツバキの加茂本阿弥なども、みんなヤブツバキとツバキの交配種(交雑種)のような気がする。
↑ 谷内田孝氏 画
余計な話だが、有楽椿と書くウラクツバキという椿は、有楽町のあるお江戸では太郎冠者(タロウカジャ)と呼ばれるが、有楽町などのない京都ではウラクツバキ(有楽椿)と呼ばれる。とにかく、いろんな交配種、多様な名前の藪椿やツバキなのだ。