吉澤兄一のブログ

お江戸のど真ん中、平河町から、市井のトピックスを日記風につづりたいと思います。

五のつく話と”五徳”の話

2020年12月20日 | Weblog
古代中国やインド仏教や陰陽思想からきているのかハテナだが、”五”を冠にした訓話や哲学や生き方指南の説諭などが多い。五といって早速浮かぶのは五節句や五輪(オリンピック)ですか。少し話を昔にすると、陰陽の五行説や論語や孔子の”五徳”ですか、それとも宮本武蔵の五輪書や二宮尊徳の五常講ですか。


陰陽の五行説や宮本武蔵の五輪書や孫子の兵法書は五”徳”ではないが、50歩100歩。陰陽の五行説は、万物は陰と陽の二気により生成されているが、その元素は「木、土、水、火、金」(五元素)だという。木は、地中に根を張り、土の養分を取って成長し、よって土は痩せるという(木剋土)。土は水を濁し、土は水を吸い積止めし、水の力を抑える(土剋水)。このような理屈で、水は火の気を損なわせ(水剋火)、火は金(属)の気を損なわせる(火剋金)。金(属)は木の気を損なわせる(金剋木)という天地平衡をして相剋と説諭した。


宮本武蔵の五輪書は、兵法(戦い方)を指南する書だが、人間の生き方磨きを教示している。戦いだからと言っても、まずは使う武器などの特徴や物性の本質を科学的に識り、味方敵方の人数や陣形(地の巻)を理解し、隙のない自然体(形のない水のように)で観て見ることが大事(水の巻)。かつ、小さな火でもたちまち大きな火になる火の性質をおさえ、場や枕のおさえをみること(火の巻)。すべて、コトの風向き(関係)や勢いを見ること(風の巻)。そして、地、水、火、風の巻で兵法や術を学んだら、空(無限の心)に努め、己が道に徹し自在に生きよ(空の巻)と指南している。


科学や哲学に目を向けさせる陰陽の五行説や兵法や生き方を指南する武蔵の五輪書や孫子の兵法書も、オリジンは仏教や儒教や論語か孔子のように思う。すべてが、尊徳の五常の徳を含め”五徳”から来ているように思う。二宮尊徳の五常の徳(五常講)は、孔子や孟子の四端(仁、義、礼、智)に尊徳が「信」を加え、仁、義、礼、智、信とし、五常講を始めたようだが、元は論語の五徳「温、良、恭、倹、譲」から来ているように思うのは、後の報徳仕法をみればわかる。


というような五徳(仁、義、礼、智、信)だが、いまではガス台や火鉢などで使われる湯沸し置の足が四本でも六本でも”五徳”といわれていることと関係がるのか?。そういえば、どのぐらいの機能(徳?)があるのか分からない十徳ナイフなどもあるが。実は、お茶室などの窯の火床(ひどこ)の逆さ転化説やこの火床が別名竈子(くどこ)といったことから、その足と器を乗せる輪が逆さになっていることから、「くどこ→こどく→ごとく」となり、五徳になったといわれる。


いずれにせよ、人間が生きてくらすために“守るべき”理想の姿としての正義と慈愛の生き方が「五徳」。受け入れて、五徳に励み、そう努めて生きよう。




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