吉澤兄一のブログ

お江戸のど真ん中、平河町から、市井のトピックスを日記風につづりたいと思います。

教育バウチャー制度ありきではないでしょうね「教育」改革と再生?

2006年10月11日 | Weblog
 昨日(2006年10月10日)、教育再生会議が設置され、浅利慶太氏をはじめとするメンバー有識者が発表された。教育再生なのか改革なのかは別にして、教育について改革が必要でありそうだということに異論はない。いそぎやってほしい。教育改革についての中心的な話が、学校に競争原理が働いていないから学校教育が”ぬるま湯”で向上せず、低レベル化しているのだとしか見ない識者や政府の世論(?)を嘆いている。教育バウチャー制度を”競争させる”(選べる)ということで「努力するから、良くなる」という短絡で、その採用やあり方の議論に持ち込んでいるのだ。
 経済や企業経営が、自由市場原理の基、(自由)競争とそのための創意創造で、今日まで発展してきたことはそのとおりだが、自由市場原理や競争一辺倒が、本当に暮らしやすいサステナブルな社会づくりの最良なことだったのかどうか議論している時、「教育」にまで”競争、競争”とあおっていいのか疑問視している。子供も、大人も、教育者や学校も”競争させれば”良い方向に向かうと決めてかかっているが、(自由)競争原理というアメリカ哲学がもたらした”格差”社会をどう総括するかも出来ていないうちに、子供たちの塾競争に、親たちの学校選び競争を加重させることの是非を、ゼロ ベースで考え直してほしいと思うのは私だけだろうか。
 都会があり、地方があり、人口密集地域も過疎地域もあり、「学校」がそれぞれ環境や暮らしのスタイルが異なる地域コミュニティの”核”になっていることの大切さを捨ててしまおうというのか。公立も私立も一元的に競争させ、「いい学校と悪い学校」のウワサやレッテルを広め、努力しなかった学校は落ちこぼし (よくなろうと努力しても、うわさやレッテルを排除することはできない)廃校にし、仕方なく地域制約からその学校にしか通えない子供から学校を取り上げることを、大人がやろうとしているのだ。
 いくつかの米国の州やドイツあたりの教育(学校選び)バウチャー制度トライアルをみて、短絡的に”よさそうだ”やってみようと拙速し、教育百年の計を崩壊させることはしてほしくないのです。クーポン券や商品引き換え券と同じレベルで、学校引き換え券など作ってほしくないのです。
 福利厚生用企業向け食券システムをビジネスモデル化し、成功している会社(バークレイ ヴァウチャーズ)がある。企業や事業所の社員食堂が後退する時期に導入してサクセスした英国系の「BV食事券」だが、6000事業所の約20万人が利用し、加盟店3600店(含、CVS)にまで成長している。このようなバウチャー(Voucher)という新しいパブリック マネジメントのひとつの方法を導入したこの会社の創業者池田洋彦さんは、教育にもすぐれたお考えの持ち主だったが、教育にバウチャーをというようなことを言わなかった。見識者だ。
 今回の問題(教育再生)を推進する山谷えり子さん(首相補佐官)は、いつも正論を論理的に話す人で”大好き”な方で応援しているが、教育問題でまで、官僚が(教育)補助金や行政助成金を材料にする愚だけはさせないようリードして欲しい。ふつうの目線で、難しい教育問題にあたってほしいと、お願いする次第です。
コメント (1)
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