花ごよみ

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水の柩 道尾 秀介

2012-03-06 | 本 ま、や行(作家)

水の柩

五十数年前
今はダムとなった地に村があった。
その村にかつて暮らしていた祖母の秘密。

旅館の長男で中学校二年生の逸夫、
自分が“普通”と思い、
毎日が普通で退屈と感じ、
つまらない日常を嘆いていた。

逸夫の同級生の敦子はいじめを受け、
つらい日々を送っていた。

そんな逸夫と敦子の間の距離が、
文化祭をきっかけに狭まる。

タイムカプセルに入れた手紙を、
新しいのと取り替えるという
敦子の頼みによって、
退屈だった逸夫の世界が変わり出す。

敦子の悲壮な覚悟。

逸夫の祖母のダム湖に沈められた秘密。

封印した過去におびえる祖母と
日々の仕打ちに逃れるすべのない敦子。
敦子の悲しみと心に受けた癒しがたい傷。

逸夫にとって自分の周囲の、
大事な人々を守りたい。
そして過去を忘れるのではなく、
乗り越えようとする行為。

逸夫の優しさが、
絶望からはい上がる勇気を
与えてくれたような…

美しい情景を感じる文章。
輝く光を受けた、
ダムのシーンが目に浮かびます。
明るい光を感じるラストで救われました。



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4 コメント

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Unknown (けん)
2012-03-06 12:47:37
またまたお邪魔させていただきます(汗

心が優しかったり弱かったりする人達のひたむきさがなんとも言えませんでした。

ただ、俺はどうしてもミステリー感を求めてしまうので、そういった面ではちょこっと愛想もなかったです。
けんさんへ (kazu)
2012-03-06 20:21:47
こんばんは

いつも来てくださってうれしいです。
ありがとうございます。
沢山読まれていてびっくり!!

ミステリー感は希薄でしたね。
どちらかというと救いの物語
でしたね。
トラックバックありがとうございました。 (t-saito)
2012-03-11 17:20:13
はじめまして。
トラックバックありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。

 この本は良い本でした。
 とりあえず、今年のベストです。
t-saitoさんへ (kazu)
2012-03-11 19:36:32
はじめまして

TB、コメントありがとうございます。
「水の柩」よかったですね。
心に残る物語でした。
こちらこそよろしくお願いします。

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