死都日本 (講談社文庫)
テーマは火山の破局的噴火。
主人公は火山学者。
噴火からの脱出劇です。
火砕流や噴石、火砕流サージ、
ラハール、土石流、降灰…
霧島火山帯に破局的噴火が起こってしまうと
本に書かれているのと
同じようなことになるのかと
思わせます。
これだけでは終わらず地震や
富士山噴火まで匂わせています。
火山灰による影響は
経済的破綻や食糧危機など
世界規模の破滅を起こしてしまいます。
天の岩戸遺跡など、
『古事記、旧約聖書』の引用は
物語に厚みをもたらしていました。
舞台になっている道は
一度行ったことがあるので
景色が目に浮かんできます。
この脱出劇、
火砕流の後は車のタイヤが焼けてしまい
現実には走行は無理でしょう。
壮大なスケール感の物語で
切迫した情景描写は怖いのと同時に
読み応えがありました。
ただ何十万の人が消滅したとか
あまりにあっさり書かれていて
リアル感はなかったです。
首相も事態を予測していて
作戦を立てたり対策を練ったり頑張ります。
首相の再生を描いた演説には
疑問をもちましたが…
主人公だから無事生還するはずと
分かっていても
ドキドキハラハラしました。
この物語の舞台になっている
霧島辺りの航空写真を見ると
火山の跡が月のクレーターのようで、
確かにいつ爆発しても
不思議ではないような気がしてきます。
コミックにもなっています。
昨日の桜島爆発的噴火の
ニュースにはドキッとしました。