そぞろ歩き 2

彩の国を中心に、身近な自然や歴史あるいは文化的スポットを訪ね、その魅力を写真等でご案内。

三囲神社(墨田区・向島)

2010年07月11日 | Weblog
三囲(みめぐり)神社 参道

  先週の牛嶋神社と同様、市井の研究家Y氏によれば、「狛犬と寺社めぐり」等々の文献を紐解くと、この三囲神社は、田中稲荷ともいって、江戸から明治・大正にかけては、有名でもあり話題の多い神社であった。

 文和年間というから足利尊氏の世の基礎がようやく固まった頃に、近江国三井寺の住職源慶和尚が、江戸の方まで足を伸ばして隅田川のほとりに来た時、一つの破れた堂を見つけた。付近の農民にその堂の由来を聞けば、弘法大師の建てたものだという。
 さっそくそこに社殿の増築を行ったが、その時掘った土の中から一つの壷が出て来て、その蓋を取ってみると中から不思議な像が出てきた。百二十五歳くらいの老翁が白狐の背に跨って、右手に宝珠を持ち、左手に稲束を担いでいる珍しい像なので、源慶も里人も驚いていると、その白狐は老翁の像のまわりを三度まわって、いずこともなく立ち去ってしまった。「みめぐり」の名は、そこから出たという。

 その後、墨田堤の改築で位置が変わり、火災にあったりして世と共に変遷を経たが、元禄の頃この社の境内に老夫婦が住んでいた。その婆さん不思議な力を持っていて、参詣人が願いの筋を述べると、老婆が田圃の方へ向かって拍手を二つ三つうつと、どこからともなく一匹の白い狐が飛んで来て婆さんから参詣人の願いの筋を聞き取って、またいずこともなく姿を隠してしまう。願い事はそれで必ず叶えられたというのである。
 境内にある其角の「早稲酒や 狐呼び出す姥がもと」の句碑は、これを詠ったものである。

 よく狐を飼い馴らしたものだと夢々思うべからず。そのお狐さまこそ宇迦之霊魂命のお使いの白狐であり、三度まわって「みめぐり」と名づけさしたのも、宇迦之霊魂命を老翁の姿で出現させたのも、この白狐だというのだから、有難く崇敬すべきである。
 また、この神社は財閥三井家が代々守護神として崇敬し、社地の拡張や社殿の造営を行った。と、説明をいただいた。

 
三囲神社 拝殿    境内を振り返ると建設中のスカイタワーが望める


延亨2年(1,745)建立の狛犬と享和二壬戌年(1,802)建立の狐(各画像をクリックしますと拡大します)
狛犬(左端)の後ろのライオン像は三越池袋店からの移築されたもの

 
境内にある大国神社と延宝7年(1,679)建立の狛犬(小振りであるが風格がある)

 
境内には句碑が多く建立されている  珍しい三角(三重)鳥居の井戸

「三囲神社」 地図
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