この本は、ずっと若い頃から知っていて、いつかきちんと読んでみようと思っていました。
※初版は昭和31年、この本は幾多の改訂版の中で最も新しいものです。
ドイツ人の哲学者が弓道の名人阿波研造師範に弟子入りし、弓の世界を通じ禅の研究を突き詰めていく・・・とまぁ、詳しい内容を判らない僕はただ漠然とこんな感じかなぁ・・と、この名著をのことを紹介する以外ありません。
武道家の端くれの僕としては、剣道が「動の武道」だとすれば、その対極にある「静の武道」はまさしく弓道だと思っています。
その世界では伝説的な弓道家である阿波研造先生にドイツ人の哲学者ヘリゲル氏が弟子入りしその深遠な世界に魅了され、尊敬し更に禅的な思想を研究していくのですが・・・・自分勝手な適当な解説はここまでです。
日曜日、僕はこの日最終日となる「ダリ展」をみてみようと市立美術館を訪ねました。
自転車で行きましたが・・その行列が半端なく、最後尾は2列目でした。
すぐに諦めました。あの炎天下、その列に並ぶ気にはさらさらなれませんでしたね。
仕方なくロームシアターに移動し、そこの「蔦谷書店」をウロウロしていたのですが、ここも人で溢れていました。
と云っても書店内ではなくそこにある喫茶コーナーなんですけどね・・・。
僕はこの本屋が案外好きでちょくちょくお邪魔しています。
専門書・・というかジャンルが明確でいて、それでいてスペース的にもレイアウト的にもちょうど良く、また各分野でチョイスしている本がこれまた秀逸であり、何となくそれぞれのジャンルの係わり方も垢抜けていて・・・とまぁ、とにかく好きな空間なんですよね。
話は変わりますが、この界隈も随分と変貌し、僕が初めて知った頃とは相当様変わりしてしまいました。
しかし、やっぱりこの界隈は僕の京都との係わりの原点のような場所なんですよね・・・・。
それでかしら、つい自転車などでぶらりと走りだし、それが明確な目的がないときなどは何となくこの辺りに来てしまうんですよね。
心地良いというか・・・。
で、その本、この蔦谷書店で見つけました。帯には、あのアップルのジョブス氏の生涯の愛読書・・・とありました。
僕はそんなことより、ここにその本が平置きで置かれている・・このことに感動しましたね。
思わず手に取りさらさらっとページをめくり、これや!と思いました。
僕の記憶にある阿波先生の話はあくまで武術家としての先生の卓越した奇跡的な力・・・と云うか技・・というか、そんなものまでも超越したような弓の世界・・・それでした。
弟子のヘリゲルに見せた暗闇での連射・・・前の矢の小尻に、目では見えない闇の中でそこに更に射て見せたまるで奇跡・・・。
ヘリゲルじゃなくとも驚きのレベルを超えていますよね。
とまぁ、僕はそんなこと、強烈なイメージとして心に深く残っていたんですね。
この本、きちんと読んで見よう、一字一句を確認してみようと、今、柄にもなく思っているのですよ。