東京でカラヴァッジョ 日記

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蕭白《群仙図屏風》ほか ー【後期・その2】「奇想の系譜展」(東京都美術館)

2019年03月17日 | 展覧会(日本美術)

 

奇想の系譜展
江戸絵画ミラクルワールド
2019年2月9日〜4月7日
東京都美術館 
 
 
   後期入りした「奇想の系譜展」、前期に引き続き訪問する。
 
B1階:若冲、蕭白
1階   :芦雪、又兵衛、山雪
2階   :白隠、其一、国芳
 
 
【伊藤若冲】訪問日14点
会期中18点
(通期11点、前期4点、後期3点)
 
   若冲は省略。
 
 
【曽我蕭白】訪問日8点
会期中12点
(通期2点、前期4点、後期6点)
 
   それまで西洋美術ばかり見ていた私。書店で見かけた芸術新潮の2005年4月号、特集「水墨サイケデリック  蕭白がゆく」、表紙の赤い服を着る中国風のサイケデリックな男。即購入し、数日後、会社を午後から休み、新幹線で京都、京都国立博物館「曽我蕭白」展へ、たぶん15時半頃に到着、2時間ほど滞在したと思う。なぜ急ぎ動いたのか、今確認すると会期が僅か1ヶ月である。表紙の《群仙図屏風》のほか、強烈作が多数。蕭白が日本美術で最初のお気に入り絵師となった。
 
   さて、後期から登場した《群仙図屏風》(文化庁)。2005年の京博、2008年の東博、2012年の千葉市美以来、7年ぶり4回目の鑑賞。
   蕭白コーナーのトップに展示、結構な人だかり、並んで最前列で間近で見る。

8仙人を左から
・桃を前に休む、呆けた表情の青衣の西王母(せいおうぼ)。尻尾を立ててその桃を狙う、硬そうな鱗で覆われたアルマジロっぽい動物の名は穿山甲(センザンコウ)。
・真っ白なガマを背負い、耳かきをしてもらって惚けた表情の、ど真っ赤な唇、異様に膨らんだ腹の劉海蟾(りゅうかいせん)。耳かきをする黄衣の女性の寄り目。愛らしい白ガマ。
・鯉を手にする左茲(さじ)。怪獣の装飾のある水盤。
子供たちを引き連れその一人を抱き、優しい表情の林和靖(りんなせい)。なんだか可愛くないけど仙人が大好きで全幅の信頼を寄せている子供たち。
・龍に乗り、旋風と波を起こす青衣の呂洞賓(りょどうひん)。間の抜けた顔つきの龍。北斎を思い起こさせる形状の波。
杖を持ち片手を上げて叫ぶ李鉄拐(りてっかい)。旋風に翻る水墨色の衣、そのサイケデリックな翻り描写。
鳳凰を前に簫を吹く、赤衣の簫史(しょうし)
・巻物を持つ、強風に負けず風上の方向を睨む、黒衣の麻衣子(まいし)。
 
   赤・黄・青の原色のけばけばしさとそれらから生み出される不協和音、江戸絵画界の緊急地震速報と呼びたいこの作品、今回の東京展示を機に、蕭白がブレイクする予感。
 
   その次に展示される通期の《雪山童子図》(三重・継松寺)。前期鑑賞時に印象的であった赤青の派手な色彩の対比も、《群仙図屏風》の直後に見ると、随分おとなしく感じる。そして、背景がえらく白いなあ、題名どおり「雪山」なのだなあと今更ながら気づく。
   ほか、後期の《美人図》(奈良県立美術館)など。
 
 
【長沢芦雪】訪問日14点
会期中16点
(通期12点、前期2点、後期2点)
 
   ほぼ前期と入替なしの芦雪。
   《白象黒牛図屏風》、白象がデカいなあ、黒カラスも可愛い。黒牛もデカいなあ、足元の白ワンコも凄く可愛い。
   重文《群猿図襖》(兵庫・大乗寺)、猿それぞれの戯れ。
   《龍図襖》(島根・西光寺)、淡い色の龍の襖全体での舞い。
   重文《山姥図》(広島・厳島神社)、山姥の腹を括った表情。見ていて涙が出そう。
  《方広寺大仏殿炎上図》(個人蔵)の炎の描写。署名まで炎上。

   今回改めて芦雪は、若冲や蕭白、又兵衛とは違う、正統派に属する絵師なのだと思う。
 
 
【岩佐又兵衛】訪問日11点
会期中20点
(通期なし、前期6点、後期9点、2/9〜24・2/19〜4/7、2/26〜3/10、3/12〜24、3/26〜4/7が各1点)
 
   重文《山中常盤物語絵巻》第5巻と重文《浄瑠璃物語絵巻》第4巻(MOA美)は、既記事のとおり。
 
   当初通期展示予定が2/19からの展示に変更の「伝」又兵衛《妖怪退治図屏風》(個人蔵)は、「本展に向けた調査の過程で見出された新出作品」「他にまったく類例のない画題」とのこと。「筆致、形態感覚から又兵衛その人の作とは考えられない」が「工房作であることは確実」との説明。確かに又兵衛筆には見えない。妖怪たちも又兵衛絵巻のあとでは色褪せて見える。
 
 
【狩野山雪】訪問日6点
会期中7点
通期6点(展示替え2点含む)、前期1点
 
   通期展示の重文《梅花遊禽図襖》 (京都・天球院)の「一本の老梅の幹がコの字形に屈折し、さらに激しい屈曲を繰り返して左方に伸びる」その形態を楽しむ。
 
 
【白隠慧鶴】訪問日9点
会期中11点
(通期7点、前期2点、後期2点)
 
  通期展示の2点の大サイズ《達磨図》(大分・萬壽寺、静岡・永明寺)や《蛤蜊観音図》(永青文庫)、後期展示の《鍾馗鬼味噌図》(東京・龍雲寺)など。
 
 
【鈴木其一】7点
会期中9点
(通期4点、前期2点、後期3点)
 
   初めての里帰り《百鳥百獣図》(米国・キャサリン&トーマス・エドソンコレクション)の動物を再確認。
 
 
【歌川国芳】13点
会期中20点
(通期6点、前期7点、後期7点)
 
    国芳は省略。
 
 
   以上、蕭白、芦雪、又兵衛を中心に、後期も大いに楽しむ。


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