東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

神品 清明上河図 を見に行く

2012年01月08日 | 展覧会(東洋・アジア美術)

北京故宮博物院200選
2012年1月2日~2月19日
東京国立博物館


本展の開催を知った時。
清明上河図というのは、すごい作品らしい。1月2日から24日までの期間限定展示という。
他の199点は25日以降見ればいい、まずは清明上河図1点に絞ってじっくり見よう。
と考えていました。


そしてお正月の2・3日。清明上河図で検索。
「100分待ち」「120分待ち」「180分待ち」。
そして見れるのは「3分」「5分」。
とんでもない事態となっている。
清明上河図は、「モナリザ」級、「ミロのヴィーナス」級の作品であるらしい。
「まずは清明上河図1点に絞ってじっくり見よう」なんて全くの甘い考えであると認識しました。


7日(土)、東京国立博物館へ出動。
到着は15時。入館・入場は待ち時間なし。
到着後すぐ、2階ロビーのエレベータで上がったところのすぐ右手の、清明上河図の待ち行列の最後尾に付きます。
100分待ちの表示。まだましな方か、と思いつつ、前日購入したばかりの本を取り出します。
野嶋剛氏の「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)。本展にぴったり。
中国美術、故宮博物院の歴史、台湾の歴史・社会に無知な私にとっては初めて知る話ばかりで、非常に面白い本です。


列は少しずつ進み、ようやく展示室内のビデオ・パネルコーナーに。
それまで清明上河図の存在すら知らなかった私は、読書を中断し、予習に励みます。
そして、清明上河図に到着。ここまで100分。
100分待ちと言いつつ実際は60分、を期待していたのですが、本当に100分待ちです。


鑑賞開始。一歩ずつ進みながら絵の凝視に努めます。
絵は写真から想像するよりは明るく、細かい描写がしっかりと見えます。
その細かい描写が特徴なので、そこを味わいたいと思うのですが、何を見ればいいのやら的が絞れません。
短い時間しか与えられないので絵に集中しなければ、と思うのですが、係員の「1歩ずつ進め」「前の人との間をあけるな」の連呼に半分くらいの気を取られてしまいます。


絵の真ん中あたり「虹橋」にきます。この絵のメインの見どころらしいです。
相変わらず係員の連呼、特に「前の人との間をあけるな」がやたら耳につきます。
私の前の人は、と見ると、ほぼ終わり辺りまでたどり着いています。
私の後の人は、と見ると、私のすぐ後の人は私にくっついていますが、その次の人はまた少し間が空いています。
どうやら私に向けた連呼らしい。
そう言われてもと思いつつ、引き続き1歩ずつ進みながらの鑑賞を続けます。
鑑賞完了。鑑賞時間は、測っていたのですが、ちょうど4分です。
前の人が早すぎただけであって、通常ペースの鑑賞時間だった、と考えます。


鑑賞終了は16時45分。閉館時間は17時。残り15分。
展示会場は17時で閉めるが、清明上河図だけは17時までに列に並べば見ることができるとのこと。
再度列の最後尾につきます。物好きですね。
列に並んだのは16時50分。再び読書に没頭します。待ち時間表示は、確認を忘れました。
私が列についたあとも、続々と人が列につきます。

再度、清明上河図にたどり着いたのは18時。70分。
2回目の鑑賞時間は5分弱。今回は前後の人と大きく間があくことはありませんでした。
係員の連呼に「閉館時間が過ぎています」が加わり、今回も半分くらい気を取られました。特に女性係員の声。


これだけの待ち時間だと、多少の混乱もあるかと思いました。が、少なくとも私のいた範囲では、皆さん、不平を洩らすこともなく整然と並んでましたし、鑑賞も執拗に粘ることもなく、良識的なペースで進んでました。


感想ですが。
この鑑賞環境では全く絵を味わうことができない、というのが結論です。
「見に行った」「長時間並んだ」という事実だけが残るだけ。
しかるべき人が見れば、この環境でも得るもの多数なのでしょうけれども。


2階のミュージアムショップは17時を過ぎても、最後の鑑賞者が終了するまで開けるようでした。
「ふたつの故宮博物院」が面白かったので、同じ著者の「謎の名画・清明上河図 北京故宮の至宝、その真実」(勉誠出版)を購入し、博物館を後にしました。
2回あわせて約170分の待ち時間、足が疲れました。


神品 清明上河図 を見に行く(その2)

神品 清明上河図 を見に行く(その3)



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