アジアのイメージ
- 日本美術の「東洋憧憬」
2019年10月12日〜20年1月13日
東京都庭園美術館

およそ1910~60年頃にかけてのことですが、日本の知識人、美術愛好家、美術作家たちがアジアの古典美術に憧れた時期がありました。唐物趣味は日本の伝統だとはいえ、このときのアジア熱は別格でした。
第1章 アジアへの再帰
1)雲岡石仏との遭遇
画家たちは、中国・大同の雲岡石仏を見に行く。「アルカイック・スマイル」飛鳥仏との繋がりに想いを馳せる。作品化する。
従軍画家として4度中国を訪問した日本画家・川端龍子による1938年の大型作品。
1942年に現地を訪れた日本画家・杉山寧による同年の作品。
2)静物画の中のアジア
画家たちは、静物画のなかに、中国・朝鮮から輸入した古い陶磁器を描きこむ。
古い陶磁器を描きこんだ安井曾太郎、藤島武二、前田青邨の作品。
友人バーナード・リーチ制作の陶磁器を描きこんだ岸田劉生の作品。
3)チャイナドレスの婦人
近代の中国は、西洋のドレスと「西洋が求める中国イメージ」を合体させ、「チャイナドレス」を生み出しました。西洋が自分たちに求めるイメージを逆手にとって、新しい服飾文化をつくったのです。日本の画家たちは、こうした中国の奥深さを理解したうえで、チャイナドレスをまとった女性を描きました。
安井曾太郎、藤島武二によるチャイナドレス姿の女性像。岡田謙三による日常の中国服姿の中国人男女群像。
2014年ブリヂストン美術館「描かれたチャイナドレス」展を非常に楽しんだ私としては、展示が3点どまりで物足りない感。
第1章の絵画は導入部のようなもの。
メインは第2章「古典復興」。中国・朝鮮の陶磁器・青銅器を始めとする古い工芸品とそれにインスパイアされた日本の工芸品を取り扱う。
最後の第3章「幻想のアジア」。
アジアへの憧れは、1960年頃に表舞台からフェードアウトしますが、その後どのように深化されているのでしょうか。
3人の現代作家によるアジアをイメージした作品が展示。
画家の岡村桂三郎による伝説上の霊獣。
漆芸家の田中信行によるオブジェ。
ファッションデザイナーの山縣良和による1970年代の日米繊維交渉をテーマにした作品。
この章は撮影可能。伝説の霊獣を掲載する。

個人的には、第1章の絵画、もう少し数が欲しかったところ。