会社人間だった父と偽装請負だった僕―さようならニッポン株式会社 | |
赤澤竜也 | |
ダイヤモンド社 |
2009年1月29日 第1刷発行
著者は1964年生まれ。大阪府出身。慶応大学文学部卒。公益社団法人に勤務。進学塾講師、信用金庫営業、風俗店・高級クラブ経営、トラック運転手を経て現在は週刊誌記者。
最初、週刊誌記者とあるのでこの本の出版元であるダイヤモンド社の記者なのかなと思った。ダイヤモンド社は記者を社員に抱えている数少ない出版社だと記憶していたので。ネットでチラッと見ると赤澤竜也氏は今はフリーのライターのようだ。
赤澤竜也氏の父親は大和銀行の専務(国際総合部長)。当時世間を大きく騒がした損失事件の対応の最中に会議室で倒れ、そのまま目を覚ますことなく他界する。脳卒中だった。当時、赤澤竜也氏は慶応大学の学生で女子高生との間に子どもが生まれ、駆け落ち状態で生活していた。当時生まれたばかりの娘と嫁と病院に駆け付けるが、結局父親は目を覚ますことも無く病院から追い出されるように帰されてしまう。その時の描写からこの本は始まる。
面白く読んだのだが、結局何を言いたかったのかよくわからない。何か訴えたかったというより自分の過去の振り返りなのか。自分史が書いてみたかったのか。赤澤竜也氏の経歴でこの本にエピソードとして出てくるのは信用金庫営業とトラック運転手。偽装請負だったのはトラック運転手の時。
この本を読んだのは2012年7月だが、この年の3月に金融機関を中心に就職活動を行っていた息子の友人が、銀行に出すエントリーシートの束を私のところへ送ってきたことがある。中身のチェックのためだ。その中の一つにりそな銀行があった。ああ大和銀行かと思った。彼は4月半ばに三井住友銀行から内々定をもらい就職活動を終えたのだが、りそな銀行はダメだったそうだ。先日、息子の所に遊びに来たときにあの時のお礼ですと菓子折りをもってきたそうだ。いいのに。ものすごく素直なエントリーシートの内容で直すところなんかなかったし。まあその調子でそつなく頑張れ(笑)。銀行勤めはしんどいことと思うが脳卒中で倒れる会社人間という時代でもない。
(2012年7月 西図書館)