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投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

軍艦バウンティー号の末裔たち

ピトケアン奇譚

古賀 明蘭 「軍艦バウンティー号の末裔たち」 成山堂書店

平成10年10月8日初版

軍艦バウンティー号の末裔たち―ピトケアン奇譚

成山堂書店

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バウンティー号に関しての本の中では読みやすく内容もよくできている、と思う。著者は元遠洋漁業の船の船長。1983年に北朝鮮見学旅行記をあつかった「チュチュの国の今」でJTB第8回日本旅行記賞を受賞している。

本はバウンティー号の反乱について前半を使い、後半は今現在のピトケアン島の姿を紹介している。著者の性格なのだろう、嫌味なところが少しも無く読みやすく仕上がっている。

ところで、バウンティー号で反乱をおこした船員たちは、ピトケアンに着くまで、そしてピトケアンに着いてからも女の奪い合いで殺し合いを繰り返すのだが、これは彼らが特別の荒くれ者で異常者だったからではなく、彼らにとって異常な世界に踏み込んでしまったからとも言える。

つい最近、ピトケアンで英国の法律に基づき女性暴行などの罪に問われた住民7人に対する裁判が始まった。女性暴行と言うがそれがそこの習慣だったらどうするのか。バウンティー号の末裔たちは、その土地の習慣に従ってきただけとも言えるのだ。

後で書くつもりだが「初めて世界一周した日本人」と言う江戸時代にピトケアンあたりを航海した日本人について書かれてある本があって、それに詳しいのだが、日本人や西欧人から見れば、どうしようもなく淫らで乱れているとしか見えない性風俗も、どうもあのあたりの習慣だったようなのだ。

バウンティー号の船員たちは、その毒気に当てられて異常な事態に自分たちを追い込んでいってしまったのではないのか。

太平洋と大西洋には一本の線があって、と言うか旧大陸圏と新大陸圏には全く異なった世界で、特に女性の半奴隷化された状態は、そこが南の島だろうが北のアリューシャンのあたりだろうが、カリブの島々もそして大陸もあたりまえだった。半奴隷といっても我々が見たらというだけで、本人たちはそうは思っていなかったことだろう。

旧大陸圏と新大陸圏の違いはマーヴィン・ハリスの「食と文化の謎」のにも詳しい。マーヴィン・ハリスがどういう人物かはネットで検索してみといてください。評判は悪いと思いますが(笑)。
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