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日本型ヒーローが世界を救う! - 増田 悦佐(宝島社)

日本型ヒーローが世界を救う!
増田 悦佐
宝島社

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2006年2月15日第1刷発行

Amazonのレビューを読むと「著者はアメコミに対し古く誤った認識がある」vs「欧米人の自国一番というものの見方でアメリカを論じればこうなる」という意見になっているのですが、そんなことが主題なんでしょうか?

ベーブ・ルースやルイ・アームストロングの神格化がどういう理由からおこっているのかとか、手塚治虫に関しての論考、横山光輝の現代マンガへの影響に関する話、現代マンガが題材としているもの、これが主たる内容だと思うのですがね。

著者は増田 悦佐(ますだえつすけ)。1949年東京生まれ。1973年一橋大学経済学部卒。同大学院経済学研究科修士号取得。ジョンズ・ホプキンス大学大学院経済学部歴史学部博士課程修了。ニューヨーク州立大学バッファロー校経済学部助教授を経て1986年春以降日系証券会社1社、外資系証券会社3社で20年近くにわたり建設住宅不動産業界を担当。

2004年文春新書 高度経済成長は復活できる
2005年PHP研究所 国家破綻はありえない

以下メモ
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みんながヒーローの引き立て役に徹するのがアメリカンコミック。ヒロインはやっかいなお荷物でしかない。男性性への異常な崇拝。

ベーブ・ルースは生涯ホームラン数が多かったからヒーローとして扱われているわけではない。むき出しのオスを感じさせる行動が多かったから英雄として見られている。記憶に残されているだけ。活躍していた当時、ホームラン数を記録として見ることは無かった。

ルイ・アームストロングの神格化は複雑である。デューク・エリントン、カウント・ベーシー、ファッツ・ワラーなどルイと同時代の偉大な黒人ジャズメンはいた。いたが彼らはルイよりはるかに知的で統率力、経営力があり、白人から脅威と見られたのだ。その点ルイは知的能力で白人に脅威を感じさせることはなく、女性と浮名を残すことには力を発揮した。これが白人社会アメリカでルイが神格化された理由だ。

手塚治虫、白土三平、宮崎駿は集団的英雄像も男女平等も好きではない三人

日本マンガの特徴は特有の集団的英雄像にある。このハシリは伊賀の影丸(横山光輝)。タイトルは白土三平の忍者武芸帳影丸伝、構成は山田風太郎忍法帳シリーズのパクリだが、戦争における倫理観の相対化も盛り込んであり、この形が後の日本マンガに大きく影響している。

横山光輝の影響下に今の日本マンガはある。手塚治虫は英雄はあくまでも孤独な天才でしかない。

著者が言う「日本型ヒーローが世界を救う」とは結局、この多様な価値観を認める日本のマンガとそれに影響された日本人の考え方が優れているということだと思う。学校や教育を題材にしたマンガの膨大さ、ありとあらゆる職業が題材にされている日本マンガ。アメコミの現状は私はどうか知らないが、アメリカ映画を見る限り、著者の指摘からは抜け出せてはいない。

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(2009年10月~2010年3月 西図書館)
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